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再開発が進む福岡。高まる「はたらく場」への投資意欲― DXPO福岡で感じた、企業の成長意欲とオフィス市場のいま ―

目次

福岡の企業は、働く環境への投資に積極的です。

そんな印象を強く受けたのが、今回出展した「DXPO福岡」でした。
※DXPO福岡:2026年10月20日・21日に開催された、企業のバックオフィス業務を支援する製品・サービスの展示会。

清和ビジネスは「オフィスをもっと心地よく。」をテーマに出展。従業員が快適に、そして最大限のパフォーマンスを発揮できるオフィスとはどのようなものか。私たちが考える理想のオフィス像を、これまでの構築事例とともに紹介しました。

また、製造業や自社ビルを保有する企業も多い九州エリアの特性を踏まえ、食堂や休憩スペースの改善についても提案しました。単に休憩するだけの場所ではなく、従業員の心身をリフレッシュさせ、コミュニケーションを生み出し、働く意欲を高める空間として、その可能性を紹介しました。

ブースには、オフィスの移転やリニューアルを検討する方をはじめ、現在の働く環境に課題を抱える多くの方々にお立ち寄りいただきました。

なかでも印象的だったのは、採用を意識したオフィスづくりへの関心の高さです。

人材確保が難しくなるなか、働く環境を改善することで、自社の魅力を高めたい。新たな人材を呼び込み、従業員の定着率や満足度を向上させ、さらなる企業成長につなげたい。

オフィスや食堂の改修を、単なる設備更新ではなく、企業の将来に向けた投資として捉えている方が多いように感じました。

こうした積極的な姿勢の背景には、福岡という街そのものの勢いがあるのではないでしょうか。

大規模再開発で変貌する福岡のオフィス市場

福岡のオフィス市場を語るうえで欠かせないのが、福岡市が推進する2つの大規模再開発です。

博多駅周辺の「博多コネクティッド」と、天神エリアの「天神ビッグバン」です。

福岡市の中心部は、福岡空港に近いという立地特性から、長年、航空法による建築物の高さ制限を受けてきました。老朽化したビルの建替えが課題となるなか、規制緩和や容積率の割増しなどを活用して再開発を促進。街の景観は、ここ数年で大きく変わり始めています。

その開発規模は驚くほど大きなものです。

福岡アジア都市研究所による経済波及効果の推計では、天神ビッグバンの対象となる建替えによって、延床面積は約44.4万㎡から約75.7万㎡へと約1.7倍に拡大。博多コネクティッドでも約34.1万㎡から約49.8万㎡へ、約1.5倍に拡大する見込みです。

これらは商業施設なども含む建物全体の延床面積ですが、再開発によって街の規模がどれほど変わるのかを示す数字といえます。

さらに、オフィス市場の調査を行う三幸エステートのデータによれば、2021年から2026年までの6年間で、福岡市全体では約41.6万㎡ものオフィス床が新たに供給される見通しとなっています。

実際、近年は両エリアで大型オフィスビルが相次いで誕生しています。

【博多コネクティッド・主な開発】

  • 2022年 博多イーストテラス
  • 2024年 コネクトスクエア博多
  • 2025年 中央日土地博多駅前ビル
  • 2026年 西日本シティビル
  • 今後の計画 博多新三井ビル建替計画 など

【天神ビッグバン・主な開発】

  • 2021年 天神ビジネスセンター
  • 2023年 福岡大名ガーデンシティ
  • 2024年 ヒューリックスクエア福岡天神
  • 2024年 ONE FUKUOKA BLDG.
  • 2025年 天神ブリッククロス
  • 2025年 天神住友生命FJビジネスセンター
  • 2026年 天神ビジネスセンターⅡ
  • 2027年(予定)天神大樹
  • 今後の計画 福岡中央郵便局周辺の再開発など

※主な開発案件を抜粋。原則として竣工年を記載。今後の計画は変更される可能性があります。

こうして並べてみると、短期間で福岡の街がいかに大きく変わってきたのかがわかります。

そして、再開発はまだまだ続きます。

博多駅周辺で高まるオフィス需要。天神への移転を検討する企業も

再開発によってオフィスの供給が進む福岡ですが、博多駅周辺では、企業の旺盛な需要に対してオフィス床が不足する状況が続いています。

博多駅周辺は、九州のビジネス拠点として高い人気を誇ります。

福岡空港へのアクセスはもちろん、新幹線を利用すれば北九州、熊本、鹿児島方面への移動も便利です。九州全域に営業拠点や取引先を持つ企業にとって、博多駅周辺にオフィスを構えるメリットは大きいでしょう。

しかし、企業の旺盛な需要に対して、まとまった面積を確保できる物件は限られています。

三幸エステートが2026年10月に公表したオフィスマーケットレポートによると、福岡市全体の空室率は4.40%。なかでも博多駅周辺では募集床の品薄感が強く、企業が希望する面積を確保しにくい状況が続いています。

(写真提供:福岡市)

こうした状況から、当初は博多駅周辺への移転を希望していたものの、希望する面積を確保できず、天神への拠点移転を検討する企業もあると聞きます。

天神では大規模な再開発によって、魅力的な新築オフィスが相次いで誕生しています。博多駅周辺で物件を確保できない企業にとっても、天神は有力な移転先の一つとなっています。

そして、これらの新築ビルが持つ魅力は、単に建物が新しいということだけではありません。

高い耐震性能や環境性能に加え、充実した共用施設、快適なラウンジ、カフェ、緑豊かな空間など、働く人にとって魅力的な機能が備わっています。

さらに、飲食店や商業施設、ホテルなどが一体となった複合開発も多く、仕事を終えた後の食事や買い物など、アフター5を楽しめる環境も整っています。

オフィスに出社する時間だけではありません。通勤から仕事、休憩、そして仕事を終えた後まで、働く一日を充実させることができます。

まさに、働く人のWell-beingを高める街へと進化しているのです。

採用や人材定着を重視する企業が、こうした新築ビルに魅力を感じるのも自然なことではないでしょうか。

(写真提供:福岡市)

人気の新築ビル。高まる賃料水準

しかし、新築ビルへの入居は決して簡単ではありません。

人気の高い新築ビルには多くの企業から引き合いが集まり、賃料も高い水準で設定されています。

福岡の新築大型ビルでは、条件によって坪単価3万円台中盤を目指す賃料設定も見られます。立地やビルのグレードによっては、さらに高い水準となるケースもあり、企業にとって賃料負担は無視できない問題です。

CBREが2026年9月に公表した福岡オフィス市場の調査によると、2026年第2四半期の想定成約賃料は坪当たり16,850円(共益費込み)。11期連続で上昇しており、企業の旺盛な需要が賃料を押し上げています。

また、同年7月には博多駅前の大型複合ビル「西日本シティビル」がグランドオープンしました。オフィスフロアはほぼ満室となり、本社機能の移転など大口の案件も複数決まっているとされています。

新築ビルの供給が増えても、条件の良い物件には企業の需要が集まっています。

しかし、福岡のオフィス市場の勢いを感じるのは、新築ビルの人気だけではありません。

既存ビルにも広がるオフィス需要

博多駅周辺では、既存ビルにも根強い需要があります。

仮に空室予定が出ても、同じビルに入居する企業が増床や借り増しを希望し、一般募集される前に次の入居が決まってしまうケースが多く見られます。

実際、三幸エステートの2026年9月のレポートでも、博多駅周辺では解約床が館内テナントによって早期に成約するケースが多いと指摘されています。

新築ビルの賃料が高い水準にあるなか、既存ビルで床を増やせることは、企業にとって貴重なチャンスです。

特に、現在のオフィスを大きく変えることなく、事業拡大に合わせて面積を増やせるのであれば、移転に伴う費用や従業員への負担も抑えられます。

新築ビルへの移転を目指す企業がある一方、現在の立地や賃料条件を維持しながら、オフィスを拡張したい企業もあります。

こうした動きは、CBREの調査でも確認されています。自社ビルからの移転や館内増床、オフィス環境の改善を目的とした移転など、新築・既存を問わず幅広い需要が見られます。

もちろん、福岡市内のすべてのビルで空室が不足しているわけではありません。三幸エステートによる2026年9月末時点の福岡市全体の空室率は4.40%。新築ビルへの移転に伴う解約床が生じる一方、新築ビルを中心に空室の消化も進んでいます。

それでも、利便性の高いエリアや条件の良い物件には、新築・既存を問わず需要が集まっています。

新築ビルだけでなく、既存ビルでも床を増やそうとする企業がある。

ここにも、福岡のオフィス市場の勢いを感じます。

福岡の熱気は、企業の成長意欲の表れ

今後も福岡では大規模な開発計画が続きます。

当然ながら、新築ビルが増え続けることによる供給過剰を心配する声もあるでしょう。

新築ビルへの移転が進めば、従来入居していた既存ビルに空室が生まれます。将来的には、物件によって賃料競争が起こる可能性もあります。

実際、今後も一定規模のオフィス供給が見込まれており、需要がどこまで追いつくかは注視する必要があります。

しかし、そうした懸念がありながらも、今の福岡には企業の前向きな動きがあるように感じます。

オフィスの床を増やすということは、将来的な人員増加や事業拡大を見込んでいるということでもあります。

そして、優秀な人材を集めるために、働く環境への投資を強化する企業もあります。

新築ビルへの移転を選ぶ企業もあれば、既存のオフィスを改修する企業もあります。製造業であれば、食堂や休憩スペースを改善し、従業員が快適に働ける環境を整えることも、その一つです。

オフィスを変えることが、採用力を高め、従業員の満足度を向上させ、さらなる企業成長につながる。

そうした期待が、福岡の企業には強く感じられます。

今回、DXPO福岡で多くの方々が私たちのブースに足を運んでくださったのも、こうした背景があるからではないでしょうか。

街が変わり、企業が成長し、働く環境も進化する。

再開発によって変貌を遂げる福岡の街と、働く環境をより良くしようとする企業の熱量。

その両方を肌で感じた、今回のDXPO福岡でした。

〈参考〉
■ 福岡市・再開発関連

■ オフィス市場関連



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