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世界最大のオフィスデザインイベント「NeoCon」から見えた、これからのワークプレイス

みなさんは「NeoCon(ネオコン)」というイベントを耳にしたことはありますか?

NeoConは毎年シカゴで開催されている、世界最大級の商業空間・オフィスデザインの展示会です。私たちは今回、このNeoConと、同時期に開催される「Fulton Market Design Days」を視察してきました!

日本とは異なる展示会のあり方や、現地で感じたワークプレイスの最新トレンドをレポートします。ぜひご覧ください!

目次

NeoCon(ネオコン)とは

日本ではまだあまり知られていませんが、NeoConは1969年から毎年シカゴで開催されている、世界最大級の商業空間・オフィスデザインの展示会です。

会場となるのは、シカゴを代表するランドマーク「THE MART(旧 Merchandise Mart)」。世界中から家具メーカー、建築家、デザイナー、企業のファシリティ担当者など5万人を超える来場者が集まり、その年のワークプレイスの方向性を示すイベントとして高い注目を集めています。

なぜシカゴなのか

「なぜニューヨークではなくシカゴなのか」という疑問を持つ方も多いかもしれません。

その理由は、THE MARTの存在にあります。

1930年に完成したTHE MARTは、世界最大級の商業ビルとして誕生しました。家具や建材、インテリア関連企業のショールームが集積し、長年にわたり北米のデザイン産業の中心地として発展してきました。

その歴史の中で誕生したNeoConは、単なる見本市ではなく、「商業空間デザインの未来」を発信する場へと進化しています。2026年のテーマは「Where Design Connects」。デザインが人と人、人と企業、人と社会をつなぐという考え方が、イベント全体を貫いていました。

NeoConの会場となっているTHE MART(旧 Merchandise Mart)

NeoConとFulton Market Design Days

昨今、シカゴではNeoConと並び、「Fulton Market Design Days」も大きな存在となっています。

THE MARTから徒歩20分ほど西にあるFulton Market地区には、多くの家具メーカーが大規模なショールームを構えています。Design Daysでは、それらのショールームを一般公開し、各ブランドが自社の世界観や最新のワークプレイスを体験型で提案します。NeoConとDesign Daysを結ぶシャトルバスも運行され、来場者の多くは両方を巡るのが一般的です。

NeoConが「業界全体を俯瞰する展示会」だとすれば、Design Daysは「ブランドの思想を体感するイベント」と言えるでしょう。

展示内容レポート

全体として、家具ではなく「働き方」を提案している

今回最も印象に残ったのは、各メーカーが家具を売ろうとしているのではなく、「働き方」を提案していたことです。

もちろん、新しいチェアやデスク、ソファは数多く展示されています。しかし、その説明の中心は製品スペックではありません。

「この空間で、人はどのように会話するのか。」

「どのようなアイデアが生まれるのか。」

「どうすれば、自然なコミュニティが形成されるのか。」

家具は、そのための手段として紹介されていました。

従来の「オフィス家具展示会」から、「ワークプレイスの未来を考える場」へと大きく変化していることを実感しました。

今年見えたトレンドは「人が自然に集まる」空間づくり

今年の展示を通して、いくつか共通したトレンドが見えてきました。

まず目立ったのは、ラウンジやソファなど、人が自然に集まる空間提案です。

ハイブリッドワークが定着したアメリカでは、自宅でもできる仕事をオフィスで行う意味は薄れています。そのため、オフィスは「交流」「協働」「アイデア創出」の場へと役割を変えつつあります。

また、ホテルのロビーのようなホスピタリティを感じさせる空間も数多く見られました。

さらに、Well-beingやバイオフィリックデザイン、照明、音環境など、人の健康や心理的な快適性を考慮した提案も目立ちました。2026年には照明に特化した「Illuminate at NeoCon」も新設され、家具だけではなく、空間全体で働く環境をデザインする考え方が広がっていました。

サステナビリティは「前提条件」

日本では「環境に配慮しています」ということ自体が製品価値として語られる場面がまだ多くあります。

しかしNeoConでは、その印象が大きく異なりました。

リサイクル材やバイオベース素材、CO₂削減への取り組みは、ほぼすべてのメーカーで行われており、「サステナブルであること」は差別化ではなく前提条件となっています。

その上で、各社は「どんな体験を提供するのか」「どんなコミュニティを生み出すのか」という価値で競争していました。

これは非常に大きな気づきでした。

働き方・文化の違いがオフィスや空間に体現されている

アメリカにとってオフィスは「集まる価値がある場所」

では、なぜアメリカではこのような提案が主流になっているのでしょうか。

背景には、アメリカ特有の働き方があります。

成果主義・ジョブ型雇用・ハイブリッドワークが浸透するアメリカでは、従業員自身が成果を最大化するために働く場所を選択します。

週3日程度(火・水・木)の出社を基本とする企業も多く、オフィスは「毎日通う場所」ではなく、「集まる価値のある場所」として設計されています。

だからこそ、協働やコミュニティを支える家具や空間が発展しているのです。

日本のオフィスには日本の強みがある

一方で、今回の視察を通じて感じたのは、「アメリカが進んでいて、日本が遅れている」という話ではないということです。

日本ではメンバーシップ型雇用が中心であり、人材育成や組織文化の醸成を重視する企業が多くあります。

また、限られた面積の中で多様な働き方を実現する必要があり、空間をつくるだけでは十分ではありません。

「誰が、いつ、どのように使うのか。」

「従業員が出社する価値をどう生み出すのか。」

こうした運用まで含めて設計することが、日本のワークプレイスづくりでは重要になります。

つまり、日本はアメリカを追いかけるのではなく、日本ならではの課題に対して独自の進化を遂げているとも言えます。

オフィスづくりの本質は「理想の働き方を実現すること」

今回の視察を通じて改めて感じたのは、オフィスづくりとは家具を選ぶことではないということです。

経営がどのような組織を目指し、従業員にどのような働き方をしてほしいのか。

その働き方を実現するために運用を考え、空間を設計し、その結果として家具を選ぶ。

この順番が重要なのだと感じました。

NeoConで見た最新の家具や空間は、その考え方を実現するための「手段」に過ぎません。

これから日本でもAIの普及や人材流動化などにより、働き方はさらに変化していくでしょう。

だからこそ、海外のトレンドをそのまま取り入れるのではなく、その背景にある経営課題や働き方を理解し、日本の文化や企業風土に合わせて捉え直すことが重要です。

NeoConは、世界中の企業が「これから、人はどのように働くのか」を考える場であり、私たちにとっても、これからのワークプレイスを考える多くのヒントを与えてくれる場所でした。

編集後記

シカゴでは大手ハンバーガーチェーンM社のオフィスも見学できました!オフィスのいたるところにM社らしさを感じられる仕掛けがあり、毎日ワクワクするようなオフィスでした。

そして、日本では考えられないほど高いビル群に圧倒されました…!新しいビルと歴史あるビルが混在するシカゴは、再開発が進む日本橋とどこか似ているなと感じました。

今後もオフィスのトレンド情報や豆知識などを配信していく予定です!ぜひお楽しみに!


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