オフィスレイアウトの図面作成の必要性とは?作成手順やポイントを解説

オフィス移転・オフィスリニューアルなどの成功を左右するポイントのひとつに、自社における企業文化や働き方の価値観を反映したオフィスレイアウトを体現させることが挙げられます。そのためには、正確なオフィスレイアウト図面の作成が必要です。

本記事では、オフィスレイアウトにおける図面の種類や必要性といった基本的な知識から、図面の作成方法、準備物について紹介しています。

オフィスレイアウト設計の考え方や種類については下記の記事をご覧ください。

オフィスレイアウトにおける図面とは

オフィスレイアウトにおける図面の基本的な知識について解説します。

オフィスレイアウトの図面作成の必要性

オフィスレイアウト変更を検討している場合には、レイアウト図面を作成しておくことが非常に重要です。図面に落とし込み、具体的な現状を見える化することで、以下の4つのメリットがあります。

  • 現オフィスの問題点を発見しやすくなる

  • 新しいオフィスレイアウトをイメージできる

  • 社内や業者にイメージを共有しやすくなる

  • レイアウト変更後の確認に役立つ

このように、「情報共有」や「情報を認識・共有した証拠」として、レイアウトの図面作成は重要です。オフィスレイアウト図を作成することでオフィスづくりがスムーズに進められるようになります。

オフィスレイアウトにおける図面の種類

オフィスレイアウトの図面には、以下の2種類があります。

  • 平面図(レイアウト図)
    レイアウト図というと、基本的に平面図のことを指します。床から高さ1.5m程度の位置で断面し、上から見た図のことです。そのため、柱や壁、開口図の位置だけでなく什器や家具のレイアウトが記載されています。

  • 天井伏図(天伏図)
    天井の照明や設備器具などの位置がわかるように、天井の仕上げについて明記された図面のことです。

【オフィスレイアウト図面】作成の準備物

オフィスレイアウトの図面を作成するにあたり、事前に準備しておきたいものを紹介します。

役立つもの①:基礎知識

オフィスレイアウト図面の作成には、以下の基本的な知識が必要になります。

  • 1人あたりに必要なワークスペース

  • オフィスの通路幅などの基準寸法

  • 基本的なオフィス家具の寸法

1人あたりに必要なワークスペースや基準寸法については、以下の記事をご覧ください。

役立つもの②:各種図面・入居工事関連資料などの資料

オフィスレイアウト図面の作成には、以下の資料を用意しておきましょう。

  • 躯体図(くたいず)
    建築や土木工事において、ビル等の建物や構造物の主要な構造部分を示す図面のことを指します。具体的には、基礎、柱、梁、床、屋根などの構造要素がどのように配置され、どのように組み立てられるかを詳細に描いたものです。躯体図は、設計図の一部として、施工者が正確に構造物を建設するための指針となります。これにより、施工の際のミスを防ぎ、構造物の安全性と耐久性を確保することができます。躯体図は、建築基準法や関連する規格に基づいて作成されるため、法令遵守の確認にも役立ちます。また、設計者、施工者、検査員などの関係者間での相談やコミュニケーションを円滑にする役割も果たします。

  • 天井伏図
    建築設計において天井の構造や仕上げを詳細に示す図面です。主に建物の内部空間の天井部分の計画を視覚的に表現し、施工に必要な情報を提供するために使用されます。この図面には、天井材の種類や配置、照明器具の位置、空調設備のダクト経路、点検口の位置などが詳細に記載されます。また、天井の高さや勾配、仕上げ材の種類と色、さらには防火や防音に関する仕様も含まれることがあります。天井伏図は、建築設計者、施工者、電気設備技術者、空調設備技術者などが協力して作成し、各専門分野の要件を統合する役割を果たします。これにより、施工現場での誤解やミスを防ぎ、効率的で正確な施工を実現します。

  • 電気系統図
    電気回路やシステムの構造を視覚的に表現する図面で、電気工事や設計において重要な役割を果たします。一般的に、電気系統図は配線図、単線結線図、回路図などに分類されます。これらの図は、シンボルやラインを用いて各コンポーネントや接続を表現し、技術者が設計やトラブルシューティングを行う際のガイドラインとして機能します。正確な電気系統図の作成は、安全で効率的な電気システムの構築に不可欠です。

  • 登記簿謄本・概要書
    登記簿謄本(とうきぼとうほん)とは、不動産の権利関係を記録する公的な書類で、日本の法務局で管理されています。この書類には、不動産の所有者や抵当権の設定、地役権などの詳細な情報が記載されています。登記簿謄本は、不動産取引の際に重要な役割を果たし、購入者や金融機関が権利関係を確認するために利用されます。
    一方、概要書は、登記簿謄本の内容を簡略化した書類で、不動産の基本的な情報を提供します。概要書には、所在地、地目、地積、建物の構造や面積などが記載されています。これにより、不動産の基本的な情報を迅速に把握することができ、詳細な権利関係を確認する必要がない場合に利用されます。
    どちらの書類も、不動産の安全な取引を支える重要な役割を果たしています。

  • 貸し方基準(入居工事の手引き)
    金融機関が会社等に融資を行う際に用いる基準や指針のことを指します。この基準は、借り手の信用リスクを評価し、返済能力を判断するために重要です。具体的には、借り手の信用履歴、収入状況、資産状況、負債状況などが考慮されます。
    また、貸付の目的や担保の有無、経済環境なども評価に影響を与えます。金融機関はこれらの要素を総合的に判断し、貸付の可否や条件を決定します。貸し方基準は、リスク管理の一環として、金融機関が健全な運営を維持するために不可欠です。また、貸し手と借り手の双方にとって、公平で透明性のある取引を促進する役割も果たします。

【オフィスレイアウト図面】作成する5つの手順

オフィスレイアウト図面を作成する5つの手順を紹介します。

1.現レイアウトにおける課題の調査・分析

オフィスレイアウト図面を作成する前に、オフィスの現レイアウトにおける課題点を抽出することが必要です。そのために、現オフィスの人数や寸法、動線などを調査するとともに、実際にオフィスを利用している社員にヒアリングを実施しましょう。その後、レイアウト変更によって改善したい点を分析します。

2.オフィスコンセプトの明確化

現レイアウトの課題を把握しつつ、新しいオフィスコンセプトを策定しましょう。オフィスコンセプトとは、オフィスレイアウト設計における指針となるものです。

例えば、経営理念や企業文化、自社で打ち出したい価値観、新しい働き方を反映したものであることが一般的です。

オフィスコンセプトの策定方法については、以下の記事をご覧ください。

3.ゾーニング計画を立てる

ゾーニング計画とは、オフィスに必要な機能やスペースの位置づけを大まかに決める計画のことです。
オフィスコンセプトを意識してゾーニング計画を立てることが大切です。

例えば、「社員のオンオフを切り替えられるオフィスづくり」をオフィスコンセプトとした場合には、社員がリラックスできる機能として、シアタールームや社内カフェの配置することなどが考えられます。

4.入居人数や設置する家具・什器などを検討

オフィスレイアウト図面を作成するにあたり、さまざまな要素を検討する必要があります。例えば、以下のような人やものの数、サイズ、必要なスペースなどを把握したうえで、レイアウト図面を作成することがおすすめです。

  • 入居する人数

  • 部署や部門数

  • 導入する設備、機器

  • デスクやイス、キャビネットなどの家具のサイズ

  • ミーティング用のデスクやソファを設置するスペース

5.オフィスレイアウト図面を作成

ここまで方向性が定まったら、オフィスレイアウトの平面図を作成しましょう。その際には、オフィスを利用する人が移動経路に使う道筋である動線計画を決めることが大切です。
働きやすさや業務効率にかかわる部分であるため、シンプルかつわかりやすいものにすることが求められます。

ゾーニングや導線のポイントをこちらでまとめていますので、あわせてご覧ください。

【オフィスレイアウト図面】作成するうえでの注意点

オフィスレイアウト図面を作成するうえでの注意点について紹介します。

法令を遵守する

オフィスレイアウト変更にあたって図面を作成する際には、主に以下の法律を遵守できているかを確認する必要があります。

  • 消防法

  • 建築基準法

  • 労働安全衛生法

オフィスレイアウトは企業としての生産性向上に影響を与えるものではあるが、その前提として従業員の命や心身の健康を守ることが欠かせません。法令を遵守することで、従業員のストレスや負担を軽減し、火災や地震などの有事におけるスムーズな避難につながります。

最新の図面にアップデートする

大規模なオフィスレイアウト変更後に社員からのフィードバックを受け、都度、最適なオフィスレイアウトへと変更することがあります。こうした場合にも常に最新の図面にアップデートすることが大切です。

最新の図面に変更し、改定日を明確にしておくことで、行った変更点が明確になります。図面作成の必要性の一つである「情報を認識・共有した証拠」という役割を果たすためには、常に最新状況を記しておく必要があるのです。

【オフィスレイアウト図面】作成をスムーズに行うポイント

オフィスレイアウト変更やレイアウト図面の作成には、紹介したようにさまざまな手順が必要になります。これらの手順におけるスケジュール管理や工程管理をしながらレイアウトを成功させることは、自社で行うには大きな負担となる可能性が高いでしょう。

そのため、適切なレイアウト図面をスムーズに作成するにはプロの業者に依頼することがおすすめです。豊富な実績をもち、自社の理想のオフィスづくりに寄り添って対応してくれる業者を見極めましょう。

業者を選ぶポイントについては、以下の記事をご覧ください。

まとめ

オフィスレイアウト変更を成功させるために、オフィスレイアウト図面の作成による具現化が欠かせません。オフィスレイアウト図面を作成するには、基準寸法や家具や什器等のサイズなどの把握とともに、レイアウトにかかわる資料の収集など、さまざまな工程が必要になります。
そのため、オフィスレイアウト変更のトータルサポートが可能な業者のサポートを受けることも一つの手といえます。

清和ビジネスでは、これまでの豊富な実績をもとに、さまざまなオフィスイメージに合うデザインやレイアウトの提案が可能です。施工実績の中からオフィスデザインを多数ご紹介していますので、是非ご覧ください。

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