オフィス移転・オフィスリニューアルを成功させるために欠かせないのが、オフィスコンセプトです。自社の考えを体現したデザインや機能性をオフィスにもたせるためには、オフィスコンセプトにより方向性を定めることが重要です。
本記事では、オフィス移転におけるコンセプトの概要や必要性、メリットなどを解説していきます。最後に、実際の事例におけるコンセプトと、コンセプトを落とし込んだデザインを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
オフィス移転における「コンセプト」とは
オフィス移転におけるコンセプトとは、企業の理念やビジョンなど、何らかの価値観における方向性を定めることです。ここでいうコンセプトは、「ホテルのようなデザイン」「おしゃれなカフェのようなデザイン」などのような、内装デザインのコンセプトとは異なりますのでご注意ください。
具体的には、下記の内容を含むことが多くあります。
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自社の理念や考え方を表現
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来訪者へのメッセージ
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従業員の働き方の改善
その中でも、近年では、従業員の健康を保持・増進する習慣づくりを目指す「健康経営」や、従業員の心身がともに幸福や健康に満たされた状態を目指す「Well-being」をコンセプトとするケースが増えてきています。
こうしたコンセプトを定めることで、オフィス設計・デザインのベースになることから、コンセプト設定はオフィス移転において重要な準備といえます。実際のコンセプトと事例については後ほど紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
オフィス移転においてコンセプトを決める必要性・メリット
オフィス移転において、コンセプトを決めなければ「ただの引越し」になってしまう可能性があります。新たな価値を生みだすためには、自社の企業理念や文化、目標・ビジョン、働き方などをオフィスに反映することが大切です。コンセプトの策定は、新しいオフィスに価値を生み出すための最初の一歩となります。
コンセプトを決定したうえでオフィス移転すると、以下のようなメリットが受けられます。
自社の企業理念や文化をアピールできる
来訪者に対し、オフィスを通して自社の企業理念や文化をアピールできます。オフィスは、自社の第一印象を左右する重要な要素です。そのため、コンセプトを明確に設定したオフィスであれば、来訪者に、自社に対する共感や信頼感といった印象を与えられるでしょう。
求職者に自社の働き方をアピールできる
最近では、企業の労働環境を重視する求職者が増えています。採用活動においてオフィス見学を実施する企業もあるなど、オフィスは就職先の選定に影響する要素にもなっているのです。そのため、自社の働き方を反映したオフィスの雰囲気を知ってもらうことで、ポジティブな印象を与えられるでしょう。
従業員のモチベーション向上
自社の働き方に適したオフィス内のレイアウト・デザインにすることで、従業員が快適に働けるようになります。また、オフィス移転のコンセプトに、多様な働き方の推進といった部分も含めていた場合、従業員がライフスタイルに合わせて仕事に打ち込めるようになるでしょう。
このように、快適な働き方ができるようになることで、従業員のモチベーション向上が期待できます。
オフィスの立地・機能・デザインにおける方向性が定まる
コンセプトを策定することで、オフィス移転において「どのような場所に移転するか」「どのような機能性をもたせるか」「どのようなデザインにするか」といった重要な要素の方向性を定めることができます。
例えば、従業員のモチベーションを向上させたい場合には、オフィスを以下のような方向性にすることが考えられます。
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立地
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人気のロケーションにオフィスを構える
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著名ビル、大型ビルを移転先に選ぶ
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主要の駅から徒歩数分で着く
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カフェやコンビニ、飲食店が近くに多い
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機能性
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テレワークに対応したフリーアドレス
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ABW(Activity Based Working:アクティビティ・ベースド・ワーキング)
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オンライン会議など充実したICT環境
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休憩スペース、カフェスペースを設置
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デザイン
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企業カラーや明るい色調を取り入れる
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観葉植物などリラックスできる要素を取り入れる
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このように、新しいオフィスの抽象的なイメージを具現化していくために、オフィスコンセプトの策定が必要なのです。
オフィス移転におけるコンセプトの策定手順
オフィス移転におけるコンセプトの策定手順を3つのステップにわけて解説します。
1.オフィス移転の目的や企業の目標を明確にする
オフィスは、基本的に長期にわたって会社の拠点として、企業活動を支える存在です。そのため、現在だけでなく中長期的な会社のビジョンを明確にし、オフィスコンセプトに反映させていくことが欠かせません。
また、オフィスを移転する目的を明確にすることで、オフィスコンセプト決定の軸となります。スペースの拡張もしくは縮小、人材確保、生産性向上など、なぜ移転する必要があるのかを確認しましょう。
オフィス移転の主な目的については、以下の記事で詳しく解説しています。是非ご覧ください。
2.現オフィスの課題を洗い出す
次に、現オフィスの経営面における課題や従業員の課題をそれぞれピックアップしましょう。課題を解決していくことで、より付加価値の高い移転につながります。
経営者から見た課題はもちろんのこと、課題を洗い出す際には、なるべく多くの従業員の意見を取り入れることがおすすめです。例えば、「従業員の増員に伴いオフィスが狭くなり、作業効率が低下している」などがあります。各部署でミーティングやヒアリング、アンケートを実施し、問題点を集めましょう。
3.コンセプトを策定する
ここまでにまとめた情報を判断材料として、コンセプトを策定しましょう。企業の目標を反映し、オフィス移転の目的を達成し、現オフィスの課題を解決するようなコンセプトを見つけていきます。
オフィスデザインに落とし込む必要があるため、オフィスコンセプトは明確に決めることが重要です。
コンセプト策定とオフィス移転・リニューアルの事例
最後に、オフィス移転におけるコンセプト策定と移転の事例を2つ紹介します。
株式会社DINOS CORPORATION(オフィスリニューアル)
株式会社DINOS CORPORATIONは、総合通販ブランド「ディノス」を運営し、ファッション、家具・インテリア、美容健康商品など、さまざまな商品を販売している企業です。
新オフィスに移転してからも、旧態依然の典型的・古典的なオフィス空間でしたが、コミュニケーション活性化を目的にリニューアルしています。
この事例の目的、旧オフィスの課題、新オフィスのコンセプト、実施したことを以下にまとめています。
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目的
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クリエイティブな商品を生み出すため、濃密なコミュニケーションや雑談からアイデアが生まれるような環境づくり
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旧オフィスの課題
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多層階を使用することによる従業員同士のコミュニケーション不足
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コンセプト
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居心地の良い快適なオフィス空間
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コンセプトをもとに実施したこと
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ABWを導入しつつ、自社に合わせてレイアウトをアレンジ
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カフェスペースのようなボックスシートのフロア構成
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その結果、ディノスらしさを残しつつ、クリエイティブな仕事ができる空間に仕上がりました。長期にわたるプロジェクトが完了した現在では、部署や年代を問わず好評なオフィスになったとのことです。
株式会社DINOS CORPORATIONのオフィスリニューアルの詳細は、以下の記事をご覧ください。
ディノスが目指したのは「居心地の良さ」!ABWを社風に合わせてアレンジすることで働きやすさを実現(前編)
ディノスが目指したのは「居心地の良さ」!ABWを社風に合わせてアレンジすることで働きやすさを実現(後編)
株式会社ユーザベース(オフィス移転)
株式会社ユーザベースは、経済活動における情報・分析に活用できるNewsPicksやSPEEDAといったメディアやプラットフォームなど、複数の事業・サービスを展開している企業です。
成長・拡大を続けている同社にとって、旧オフィスは手狭になっていたことから、オフィスの移転を実施しました。
この事例の目的、旧オフィスの課題、新オフィスのコンセプト、実施したことを以下にまとめています。
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目的
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コミュニケーションにより、共創する場をつくり、熱を発生させ、生産性を向上させられる環境づくり
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多様性と自由という自社の企業カルチャーを表現した象徴づくり
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旧オフィスの課題
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部署ごとにゾーンが分かれていたことから、従業員同士のコミュニケーション不足
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コンセプト
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「共創が起こる場所」「熱を生む場所」「象徴となる場所」という3つのコアバリュー
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コンセプトをもとに実施したこと
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完全なフリーアドレスの導入
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訪れるひとがワクワクするような「見せる」「魅せる」といったデザインや仕組みの実施
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その結果、来客対応がしやすくなったり、採用面で大きなメリットがあったりと、さまざまな価値の創出につながったオフィス移転になったとのことです。
株式会社ユーザベースのオフィス移転の詳細は、以下の記事をご覧ください。
そのほかこちらでもデザイン事例を公開しています。是非ご覧ください。
まとめ
オフィス移転・オフィスリニューアルを成功させるには、方向性を定めるコンセプトの策定が欠かせません。企業理念や文化の体現や来訪者へのアプローチ、従業員の快適な働き方の実現など、策定することでさまざまなステークホルダーに自社をアピールできるでしょう。適切なコンセプトを定めるためには、信頼できる業者のサポートを受けることも一つの手といえます。
清和ビジネスでは、これまでの豊富な実績をもとに、さまざまなコンセプトに合わせたデザインやレイアウトのご提案が可能です。また、オフィス移転をスムーズに進めるためのマニュアルやチェックリストなども用意しています。ぜひご覧いただき、オフィス移転のイメージを固めるのにお役立てください。
オフィス移転の流れや費用については、以下の記事をご覧ください。