オフィスレイアウトを検討する際に、社員の働きやすさや快適さに影響するのが寸法です。オフィスにおいて考慮しなければならないのが、通路やデスク、壁、コピー機などの設備、棚などにおける要素の間のスペースになります。こうした要素に適切なスペースを確保するためには、オフィス基準寸法を押さえることが大切です。
本記事では、オフィス基準寸法の概要や基準寸法における必要なスペースの例、新しい働き方であるフリーアドレスやABWにおいて変化してきた寸法について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
オフィスレイアウトにおける基準寸法とは
基準寸法とは、建築基準法・労働安全衛生法・消防法にある基準をもとに決められたオフィスのデスク間のスペースや通路幅のことです。
各動線において基準寸法を確保することで、通常時のストレスのない働きやすさだけでなく、火事や地震などの非常時におけるスムーズな避難が可能になります。そのため、基準寸法を押さえたオフィスレイアウト設計は、快適なオフィスづくりだけでなく、従業員の命や安全、心身の健康を守ることにもつながります。
1人あたりのワークスペース
オフィスレイアウトの寸法を検討するうえで、まず把握しておきたいのが1人あたりに必要なワークスペースです。一般的には、以下のようにいわれています。
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デスク幅:1200mm
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デスク奥行き:600mm~700mm
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椅子の可動域:750mm~900mm
これらを加算すると、1人あたり約2平方メートルとなります。ただし、労働安全衛生規則には、社員1人あたりの気積(室内の空気の総量)は10立方メートル以上必要と規定されているため、天井高によっては4平方メートル以上のスペースが求められることになります。そのため、オフィス業者と相談し、適切なワークスペースを設けることが大切です。
通路幅における基準寸法
以前のオフィスは社員が働く場所を提供するために、いかに多くの社員を収容するかに重きを置いていたことから、通路幅を狭く設定していました。
しかし現在では、社員の心身が満たされた状態を目指す「Well-being」を推進するなど、自社ならではの付加価値の実現を目指す企業が増えています。そのため、快適さや業務効率性を重視し、通路幅においてもより広く取るように変化してきています。
ここでは、一般的な通路幅を紹介します。
メイン通路
メイン通路における一般的な通路幅は、1600mmです。メイン通路においては、以下の寸法を目安にすることがおすすめです。
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1人が通行するスペース:600mm~
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2人がすれ違うスペース:1200mm~
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車椅子の人が通行するスペース:750mm~
ユニバーサルデザインのオフィスの場合には、車椅子の利用を考慮する必要があります。レイアウト業者に相談し、メイン通路幅を決定しましょう。
メイン通路以外の通路幅
メイン通路以外の一般的な通路幅は、シチュエーションにより異なりますが、主に以下のものがあります。
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デスクとデスクの間 :900mm
向かい合っているデスク間の通路の場合、1人が通行するスペースが600mm~であるため、900mm程度のスペースを確保することで、1人が余裕をもって通行できます。
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座席と座席の間 :1600mm
背面しているデスク間の通路の場合、椅子に座る2人の社員分のスペースと1人が通行するスペースを確保するために、1600mm程度のスペースが必要です。
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座席と壁の間(座席後ろが動線ではない場合):900mm
座席後ろが壁になっており、基本的に人の通行がない場合には、椅子に座る社員分のスペースを確保するために900mm程度のスペースが必要です。
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収納庫と座席の間 :1500mm
座席後ろがキャビネットといった収納庫になっている場合には、人が通行するスペースと棚を開けるスペースを確保するために1500mm程度のスペースが必要です。
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座席と壁の間(座席後ろがメイン動線の場合): 1600mm
座席後ろがメイン動線の場合には、椅子に座る社員分と2人がすれ違うスペースを確保するために、1600mm程度のスペースが必要です。
通路幅を決めていくには、オフィスレイアウトをどのようなパターンにするかを策定することが欠かせません。
オフィスレイアウトの基本的なパターンやデスクの運用方法についてはこちらの記事をご覧ください。
https://hataraku.seiwab.co.jp/article230707/
通路に新たな価値創生を求めた事例:株式会社ユーザベース
通路を「ただの動線」として捉えることが多い中、通路におけるコミュニケーションの活性化を図り、革新的なアイデアの創出を狙ったのが、株式会社ユーザベースです。
部署やグループを横断した社員同士の偶発的な出会いと何気ない会話を引き出すために、オフィス内にリアルなストリートやバス停を再現しました。人が自然と滞留できるスペースを設けているため、一般的な通路幅よりも全体的にかなり余裕をもった通行幅となっています。
目的地に向かうための動線であり、すれ違うだけで何も生まれなかった空間に新たな価値創生という機能を付与した事例です。
株式会社ユーザベースの事例の詳細は、以下の記事をご覧ください。
https://hataraku.seiwab.co.jp/article230207/
https://hataraku.seiwab.co.jp/article230214/
デスク寸法
オフィスのデスク寸法は、基本的に1人あたりに必要なワークスペースを確保した以下のサイズとなっていることが多くあります。
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デスク幅:1200mm
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デスク奥行き:600mm~700mm
最近ではフリーアドレスや働く場所・時間を自由に選べるワークスタイルであるABW(Activity Based Working)を導入する企業が増えています。そのため、デスク幅も余裕をとって1人当たりのワークスペースが1400mm程度になるように設計されているデスクが増加しています。また、直接収納を付けたデスクの設置は減少傾向にあります。
さまざまな働き方に対応できるように、1人あたりに必要な寸法を守りながらもフレキシブルな利用が可能な以下のデスクの利用が増えています。
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平机(平デスク)
一般的なシンプルなデスクのこと。収納がついていないため、固定席とフリーアドレスのどちらでも利用しやすく、汎用性に優れています。
フリーアドレスの場合にはキャスター付きのデスクと椅子を導入し、レイアウト変更に対応できるようにすることが多いです。固定席の場合には、収納棚を別途用意する必要があります。
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ロングデスク
平机の一種ですが、複数人が横に並んで使用することを前提につくられた横長のデスクのことです。十分な幅があるため、増員した際には1人あたりのスペースを減らして対応することも可能です。また、最近では連結パーツを追加することで、さらにデスクを拡張できるロングデスクもでてきています。
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個別ブース型デスク
サイドパネルなどを用いて個々が集中できるブースのような空間をつくったデスクのことです。周囲を気にしないで済むように、壁沿いや窓際にカウンター席で設けられることがあります。
フリーアドレスの導入を検討している方はこちらもご覧ください。
https://hataraku.seiwab.co.jp/article230724/
テレキューブ寸法
テレキューブとは、フルクローズタイプで完全な個室空間を創出できるブースのことです。吸音パネルで囲まれているため、遮音、吸音、照明、換気といった機能を備えており、集中できる環境を実現できます。
もともとコロナ禍に感染症対策として生まれたブースですが、ポストコロナにおいても需要は高く、多くの企業から注目を集めていいます。
テレキューブの寸法は、以下のようになっています。
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1人用ブース1000W:幅1000mm×奥行1200mm×高さ2325mm
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1人用ブース1200W:幅1200mm×奥行1200mm×高さ2325mm
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2人用ブース:幅2000mm×奥行1200mm×高さ2325mm
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4人用ブース:幅2000mm×奥行1600mm×高さ2325mm
(参照:okamura「TELECUBE」)
デスクやテレキューブだけでなく、什器導入の際にも寸法を理解しておくことで、ゆとりをもたせたい部分と省スペースを目指したい部分のメリハリをつけられます。
まとめ
社員の働きやすさを改善し、業務効率化やコミュニケーションの活性化を実現するには、オフィスレイアウトにおける通路幅やデスク間のスペースをしっかり確保する必要があります。そのためには、基準寸法を理解したうえでオフィスレイアウトの設計をすることが大切です。
ただし、自社で実現したい目的によって必要となるスペースは異なるでしょう。そのため、適切な寸法を把握するために、プロの業者にサポートしてもらうことがおすすめです。
清和ビジネスでは、これまでの豊富な実績をもとに、さまざまなオフィスイメージに合うデザインやレイアウトの提案が可能です。施工実績の中からオフィスデザインを多数ご紹介していますので、是非ご覧ください。
オフィスレイアウトを業者に依頼する際のポイントについてはこちらで解説していますので、あわせてご覧ください。