オフィス移転の際に必要な届出は?各種手続きも忘れずに行おう

オフィス移転を行う際、住所変更に伴ってさまざまな届出を提出する必要があります。
法務局や税務署、社会保険事務所など、書類によって提出先が異なりますので、間違えたり抜け漏れしたりしないように気をつけましょう。

本記事では、オフィス移転の際に必要な公的機関ごとの届出、その他オフィス移転時に忘れてはならない各種手続きについてご紹介します。

公的機関ごとに必要な届出

まず、公的機関ごとに必要な届出から見ていきましょう。

法務局

法務局に対しては、本店であれば「本店移転登記申請書」、支店であれば「支店移転登記申請書」を、移転前の管轄法務局へ提出する必要があります。
提出期限は以下の通りです。

  • 本店移転登記申請書

    • 移転後2週間以内

  • 支店移転登記申請書

    • 移転後3週間以内

届出の際は、以下の書類も同時に必要です。

  • 株主総会議事録または取締役会議事録

  • 登記簿謄本

  • 定款

  •  印鑑証明書

また、同じ管轄の法務局内に移転する場合と、別の管轄の法務局内に移転する場合では、登録免許税の費用が異なりますので注意しましょう。同じ管轄内なら3万円で済みますが、別の管轄の場合は6万円が必要です。

税務署

税務署に対しては、「異動届出書」と「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」の2つを、移転前の管轄の税務署に提出する必要があります。
提出期限は以下の通りで、手数料はかかりません。

  • 異動届出書

    • 移転後速やかに

  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

    • 移転から1ヶ月以内

異動届出書は、移転後の管轄税務署にも提出する必要があります。窓口や郵送で手続きを行う際は、以下の書類が必要です。

  • 法人登記簿謄本

  • 登記事項証明書

  • 定款等の写し

この手続きはe-Taxを使ってオンライン上でも行えます。
e-Taxで手続きを行う場合、添付書類が不要となるため、コストや手間を抑えたい場合はe-Taxを使うと良いでしょう。

都道府県税事務所

都道府県税事務所には、「事業開始等申告書」を提出します。
移転前・移転後両方の管轄税事務所に提出する必要があります。書類の書式や提出方法は各事務所によって異なり、事務所によっては異動届出書と統一仕様になっていることもありますので、よく確認して申請を行いましょう。

社会保険事務所(年金事務所)

社会保険事務所(年金事務所)には、「適用事業所所在地・名称変更(訂正)届」を提出する必要があります。

従業員の健康保険料や年金を取り扱う重要な書類ですので、移転後5日以内に、移転前の管轄事務所で行います。
郵送や電子申請でも行えますが、管轄内の移転と管轄外の移転、また法人か個人事業主かによって準備する書類が異なりますので、必要な書類を確認して準備しましょう。

労働基準監督署

労働基準監督署へは「労働保険名称、所在地等変更届」を提出します。
移転後の管轄監督署へ、「オフィス移転をした日の翌日から10日以内」に手続きを行わなくてはなりません。

公共職業安定所(ハローワーク)

公共職業安定所(ハローワーク)へは、「雇用保険事業主事業所各種変更届」などの書類を提出します。
このとき、事業によって提出内容が異なりますので、自社が以下のどちらに当てはまるのかよく確認して提出しましょう。

  • 一元適用事業

    • 労災保険と雇用保険を一本化して申告や給付を行う、二元適用事業以外の事業

  • 二元適用事業

    • 労災保険と雇用保険を別々に取り扱う、農林漁業・建設業などの事業

これも労働基準監督署と同じく、「オフィス移転をした日の翌日から10日以内」の手続きが必要です。

消防署

消防署に対しては「防火対象物使用開始届出書」を提出します。
移転先オフィスを使い始める7日前までに手続きが必要なため、移転後ではないことに注意しましょう。

また、壁や床、パーテーションなどの内装工事を行う場合は「防火対象物工事等計画届出書」の提出が必要です。
こちらは、移転先オフィスの工事着工の7日前までに提出します。内装工事を業者に依頼する場合、業者が消防署への届出を代行してくれるケースもありますので、業者との間でしっかり確認しましょう。

郵便局

郵便局へは「転居届」を提出します。
これは明確な期限があるわけではありませんが、一般的な住居の引越しと同じように、移転先の住所や移転日が決定したらすぐに届出を行うと良いでしょう。
これも一般的な引越しと同様、会社を移転してから1年間は旧住所に届いてしまった郵便物を無料で新住所に転送してもらえるサービスが受けられますので、うっかり旧住所に郵便物が届いてしまうのを防ぐためにも行っておくとよいでしょう。

警察署

警察署へは、会社で車両を保有している場合のみ「車庫証明(自動車保管場所証明申請書)」の提出が必要です。
移転後の管轄警察署へ、移転後速やかに手続きを行いましょう。

また、移転に伴ってナンバープレートも変更になる場合は「安全運転管理者変更届」の提出も必要です。
こちらは、同一都道府県内の移転か他の都道府県への移転かで提出方法が異なりますので、警察署へ確認しましょう。

官公庁への届出リストを一つにまとめた資料があります。
手続き忘れがないか確認するためにご利用ください。

その他、忘れてはならない各種手続き

その他にも、オフィス移転時に忘れてはならない5つの手続きがあります。

現オフィスの退去手続き

まず、現在のオフィスの解約手続きを行います。
一般的なオフィスビルの賃貸借契約は大きく2種類あり、それぞれ解約の方法が異なります。

  • 普通賃貸借契約(一般借家契約)

    • 契約期間に関わらず解約が可能。6ヶ月前予告、3ヶ月前予告など契約書に条件が記載されているため、条件に従って解約予告を行う。

  • 定期賃貸借契約

    • 契約期間を定めているため、原則として契約期間内の解約は認められない。

普通賃貸借契約でも、定期賃貸借契約でも、残りの家賃を支払うことですぐに解約することも可能です。
例えば、定期賃貸借契約で残りの契約期間が3ヶ月あった場合、3ヶ月分の家賃を払うことですぐに解約できます。

ただし、現オフィスを退去する場合は原状回復工事も合わせて行う必要があります。
解約時までに原状回復工事を終わらせて引き渡しができるよう、余裕をもって解約手続きを行いましょう。

銀行・クレジットカードの住所変更

法人銀行口座、クレジットカード、ETCなどを持っていれば、それらの住所を変更する必要があります。

それぞれ具体的な手続き方法は銀行やクレジットカード会社などによって異なりますので、移転後にもすぐ使えるよう、早めに手続き方法を確認しておきましょう。

インターネットや電話回線、ライフラインの移転

移転の際にはインターネットや電話回線も同時に移転、または新規契約する必要があります。
移転する場合には移転手続きを、解約して新規に契約するなら解約と契約の手続きを行いましょう。また、電気、ガス、水道などのライフラインの移転も忘れてはなりません。

インターネットや電話回線についてはこちらで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

保険の手続き

自社で契約している保険があれば、すべて契約変更の手続きを行う必要があります。社会保険、労働保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険などが当てはまりますので、契約している保険とそれぞれの手続き方法を確認しましょう。

取引先への連絡

最後に、取引先をリストアップし、漏れがないように連絡を手配しましょう。単なる連絡先移転の連絡だけでなく、丁寧な挨拶をプラスするとより印象アップにつながります。
連絡漏れは非常に失礼にあたりますので、リストアップの際は入念にチェックしましょう。

まとめ

オフィス移転時には公的機関ごとにさまざまな届出を行う必要があるだけでなく、現オフィスの退去手続きやライフラインの手続き、取引先への連絡など各種手続きも忘れてはなりません。
手続きが煩雑で通常業務と同時進行が難しいという場合は、オフィス移転をプロジェクトとして捉え、プロジェクト支援サービスを利用してみてはいかがでしょうか。

オフィス移転の届出や手続きにお悩みの方は、下記資料をダウンロードしてください。

オフィス移転の流れについてこちらでも解説していますので、あわせてご覧ください。

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