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【清水建設株式会社】人と人がつながる「コミュニケーションHUB」を目指して

清水建設名古屋支店は38年ぶりに丸の内に移転

2024年7月、「いつかここに戻ってくる」という熱い想いを38年間胸に秘められていた清水建設名古屋支店が、ついに丸の内の新築ビルにオフィスを移転されました。
ABW(Activity Based Working)最先端のITツールを導入されつつ、なんと10階と11階は吹抜でつながっていて、社内外問わずコミュニケーションが活性化されるように設計された、とてもステキなオフィスです。
今回は1年以上前からこの移転ビッグプロジェクトを担当され、大成功をおさめられた宮下さん、平(たいら)さん、小土井(こどい)さんの3名に新オフィスに込めた想いや移転時のポイント、大変だったお話などを伺いました。

目次

移転コンセプトは「コミュニケーションHUB」

わたしたち名古屋支店の旧社屋は、複数のフロアに分かれて入居していたこともあり、各部署・各人・内勤者と外勤者のコミュニケーションが活性化されておらず、どこか分断されていたようなイメージがありました。

今回の移転を機に社員に事前ヒアリングを行った結果、日々のコミュニケーションや仕事の仕方に課題を感じているメンバーが多いとわかりました。支店長からも「コミュニケーションを加速させて支店としての一体感を育み、イノベーションを生み、業績につなげていこう」という話をよく聞いていたため、今回の移転コンセプトを”人と人がつながる「コミュニケーションをHUB」”と定め、プロジェクトを進めていきました。

ーそれぞれどのような課題があったのでしょうか?

コンセプトの6つのキーワードは、実際に社員にヒアリングをした結果をまとめていったものです。
それぞれの課題や希望は以下のようなものでした。

  1. 部署内・部署間のつながり
    旧支店はワンフロア1部署でまとまってしまっており他部署の人と話すことが少ないため、他部署や他の人の活動内容を知りたい
  2. 外勤者とのつながり
    現在東海4県に10の営業所があるが、外勤者の方が支店に来た際にどこに座って仕事をしたら良いか分からない、使いづらい
  3. イノベーション 生産性向上
    ITツールを最大限活用すること、そして多様な空間でたくさんの出会いを創出することで、これまで以上のイノベーションを起こそう
  4. 社外への発信
    お得意先はもちろん、入社希望の学生や従業員、家族など、より多くの方々にもっと清水建設のことを知ってもらいたい
  5. 支店の声を反映したABW
    会社側の意向や理由で導入するABW(Activity Based Working)ではなく、みんなの意見や希望を取り入れたABWを実践すべき
  6. リラクゼーション WELL
    一人ひとりが自分らしく健康的に働ける快適な環境を作ろう
    出社したくなるオフィスを作ろう

これらの課題解決をしつつ社員の要望を満たす移転とは、具体的にどのようなことなのか、プロジェクトメンバーが机上で考えるだけでなく、実際に事前検討ワーキングを何度も何度も行い、従業員のリアルな意見を吸い上げることを意識しました。

従業員へのヒアリングは部署別・個人別に複数回実施

ー従業員の方々の意見をまとめるのは難しいと思うのですが、どのように実施したのでしょうか?

実は今回の移転に先立ち、支店長からも「トップダウンで進める従来のプロジェクト推進の形ではなく、一から従業員の意見を聞いて新社屋を作りなさい」という指示がありました。

そこで、プロジェクト期間の約3年間の中で複数回のサーベイ調査や個別ヒアリングを行いました。
具体的には、約3年前にアクティビティサーベイを行い、個人や部署の業務特性・実態を把握し、新しい働き方を体現するオフィスレイアウトの検討を始めました。

そして部署ヒアリングを2年前から複数回、各部署と対面で行い、部署としての意見と個人としての意見をそれぞれ吸い上げ、その一つひとつに対して要否や対応を検討する作業を続けてきました。
また、各部署から移転実施推進者を選出し、複数回に渡る説明会を行うことで、従業員に「自分たちも移転に参画している」という当事者意識を持ってもらえるように心がけました。

ーABW導入に反対の従業員の方がいらしたとお聞きしましたが

サーベイやヒアリングの結果、従業員から上がってきた声の中には、「ABWを導入したら仕事をしづらくなる」「うちの社風や業務内容に合わないから固定席のまま仕事をしたい」など、否定的なものも多くありました。

その否定的な意見の背景には、他社様や他支店でも行っているいわゆる“働き方改革”に対するネガティブな噂等から、従業員の中でABWへの本質的な理解が進んでいないことに気が付き、そもそも「ABWとはどんな働き方なのか」「導入するメリットは何か」などを説明する機会を多く設けることで理解や協力を促していきました。

また、プロジェクト側の意向で業務効率が低下することを避けるため、最低でも1部署につき2回は実施をしたヒアリングを通じて、「この部署にはこの設備が必要だろう」「この部署の横にはあの部署が適しているだろう」「この部署だけは固定席で仕事をしてもらうべきだろう」などを具体的に検討しました。

最終的には、全部署・全員が画一的にフリーアドレスやABWを導入するのではなく、例えば専用ソフトを使用する見積部は全員固定席にするなど、理想論ではなく現場に即したレイアウト・運用としました。

まさに従業員のリアルな声から生まれたレイアウトと言えると思いますが、この準備を重ねた結果、幸いなことに移転後は部署・個人どちらからも主だったトラブル報告やクレームは発生しておらず、「他部署の人とすぐにコミュニケーションが取れるから移転してよかった」など、前向きな言葉を多くもらっています。

地域愛をより強く発信することで地域の良さを再認識する

ーオフィスを拝見すると、随所に地域愛を感じられるのですが、かなり意識をされていますか?

はい。私たち名古屋支店は名古屋、そして東海4県を愛しています(笑)
応接室には「ISE」「SURUGA-TOTOUMI」「MINO」「MIKAWA」「OWARI」などと旧国名を付け、それぞれの県の特産を使っています。MIKAWA・OWARIの壁材には三州瓦を使い、ISEの壁材は鈴鹿墨を染み込ませた杉板貼り、MINOは美濃和紙貼り、SURUGA-TOTOUMIは実際に香る茶葉をボードに練りこんでいます。

什器は、愛知県が本社のカリモク家具株式会社様に特注で作っていただいたイスや、各県産のヒノキで特注製作した机を使用するといった工夫を行い、地域への愛を具体的に表しました。今後、各県の名産お菓子や飲み物を提供する等、運用面でもトライできればと思っています。

会議室の名前も「ANSUPA(あんかけスパゲティ)」など、東海地方の有名な料理名にしています。
「15時からの会議は会議室Aね」よりも「ANSUPA集合ね」と言ったほうが地元愛を感じるじゃないですか。

先ほど社外への発信、ということをお伝えしましたが、東海4県の素材を使って地域の技術を発信することで全国の皆さんに東海4県に興味を持っていただくといった狙いもあります。
すでに社員のご家族や会社のOB向けに新オフィス見学ツアーを何度も開催していますが、わたしたちの地域愛をしっかりと受け止めていただけているようなので、何よりです。


吹抜部分には名古屋支店から見た各営業所の位置を記したのですが、ツアー参加者の多くが写真を撮ってくださるので、考案者(小土井さん)としてはうれしい限りです。

天井には名古屋支店から見た各営業所の位置が記されている

従業員のいる場所は位置情報システムでリアルタイムに把握可能

ーこれだけ広いオフィスでフリーアドレスだと、従業員のいる場所が分からなくなりませんか?

いいえ、名古屋支店では全員が持っている業務用スマホと什器に貼り付けられたビーコンを使い、従業員の位置情報を取得しているので問題はありません。
一般的な位置情報サービスではその従業員がどこにいるかの把握しかできないことが多いですが、名古屋支店では「DX-Core」という弊社が開発した建物OSサービスを導入しているため、位置情報に加えてその従業員のスケジュールを確認したり、電話やメール、社内チャットが行えるなど、従業員のコミュニケーションがしやすくなる環境を用意しています。

DX-Coreについてはこちら https://www.shimz.co.jp/engineering/solution/dxcore.html

DX-Coreで取得したデータを分析すれば、時間帯別の各ゾーンの利用率や、会議室の混雑状況などもすぐに把握できます。人がいないゾーンは自動的に照明を暗くしたり空調を弱めたりするなどの調整も可能なため、よりSDGsで働きやすい環境を作っていけると考えています。

移転成功のためにはペーパーレス化と予算確保はマスト

ーかなりスムーズに移転が成功されたようですが、入念に準備されたことなどはありますか?

はい、2つあります。1つ目は全員でペーパーレス化を推進したことです。
「ニューノーマルワーキング」という全社を跨ぐ委員会が全社的にあり、経営層からペーパーレスの取り組みについて推進するよう指示を受けたことを契機に、名古屋支店としては支店社屋の移転があったこともあり、2022年から本格的に活動した結果、3年間で全体書類を元々の1/3まで減らすことに成功しました。現在では、紙の書類が大幅に削減されたため、オフィスの引っ越し時は、各自が自分の荷物を手で持って移動ができたほどです。
また、引っ越し後のロッカーはかなり狭くなりますよ、と従業員にあえて伝えることで危機感を醸成し、結果的には引っ越し後にキャビネットがあまったくらいです。

2つ目は、適切な予算管理です。
他社で移転プロジェクトを経験された方にヒアリングをした際には、当初の予算見積もりが甘く、引っ越し間際になって予算超過が発覚し、その結果一部の什器を削らざるを得なくなった、という話を聞きました。
今回の移転プロジェクトでは、早い段階から詳細な予算を組み立てるとともに、各予算の必要性などをプロジェクト発足時から支店幹部等にしっかりとプレゼンしていたためスムーズに予算承認を得られました。また、常に予算の執行状況を確認することで、予算超過せずにプロジェクトを遂行することができました。
もし今後、移転プロジェクトを担当される方がいたとしたら、予算だけは早めに社内でしっかりと詰めておかれることをおすすめします。

移転プロジェクトで苦労したこと

ー一方で今回の移転プロジェクトで苦労されたことなどはありますか?

設計図面上でゾーンを検討するだけでなく、移転後に社員がどの場所でどのように働いてもらうか、について徹底的に検討しました。また、ご見学者を多く招こうと考えていた半面、どこまでオープンにすべきかについても相当悩みました。

吹抜の周りで社員に働いてもらうためには、ここに集中ブースを設けて、ここには4人座れるテーブルを設置して…など何十回も検討を重ねて最終レイアウトを完成させました。
実際に吹抜を囲うようにして社員が仕事をしている姿を見ると「頑張って検討した甲斐があったな」とうれしくなります。

どこまでオープンにすべきかについては、「見学者に清水建設が持っている技術力のアピールができる」というプラス面がある一方で、「ここまで見せてしまって問題はないのだろうか」という懸念もあったため、ギリギリのバランスを取るのに苦労しました。

吹抜部分は検討に最も時間を割き、モニターの見やすさ、面積、周長、などをデジタルデザインで1,000パターン以上のシミュレーションを実施し決定しました。

オフィスビルにテナントとして入居する際に、本体工増に影響のある吹抜をつくることは、本来であれば非常に難しかったと思います。そのような状況下で、今回は建物本体の計画段階から参画できたことや、事業者と密な連携を行えたことで、吹抜を創り上げることができました。一テナントとしての新たな可能性を見出すことができたかと思っています。

今後に向けて

ー改めて移転プロジェクトを担当された感想をお願いいたします

まず、移転をして本当に良かったです。
2フロアになり支店全体がつながったため、従業員同士のコミュニケーションの質・量ともに体感として圧倒的に上がりました
喜びの声や評価をしてくださる声も各方面から聞こえてきて「担当者として良い仕事をしたな」という実感があります。社長からも「清水建設らしくない」という最高の誉め言葉をいただきました。

ー社員の皆さんにはどのような意識でオフィスを活用してもらいたいですか?

移転時に100点を獲得するということはありえないため、「これからオフィスを使い倒してカスタマイズしていく当事者は自分たちだ」という当事者意識を持っていただきたいです。

プロジェクト側としては今後36面ディスプレイやコンテンツ、VRなどのアイディア抽出、オフィス運営ルールの更新・見直しや、新規取り組みなどをするためのオフィス運営委員会をつくっていきます。社員の皆さんにも支店は自分のもの、家という意識でいろいろな活動を積極的に携わってほしいと思います。ぜひさらに良いオフィスを一緒に創り上げていきましょう!

ーオフィス移転を考えている方へメッセージをお願いいたします

今回、オフィス移転を経験して分かったことは「プロジェクトは事前のスケジュール管理と目標設計がすべて」という点です。今回、わたしたちは移転計画にあたり何度も移転を経験されている方から「移転とはなにか」を教えてもらっていたのが大きかったと思います。

  • 必要な情報をできる限り早く収集・集約し展開する
  • その情報に基づく資料を作成し計画を練る
  • 予算管理を含めたToDoをしっかりと作成し、常に確認していく

これらの積み重ねが、良いオフィス移転につながるのだと思います。

今回は清水建設名古屋支店様のインタビューをお届けしました。

清水建設名古屋支店の小土井さん・平さん・宮下さん、インタビューさせていただきありがとうございました!


今の課題をなんでもご相談ください!

はじめてのオフィス移転もこれで安心!

常に働き方改革を実践するオフィスを体験できます!

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