活発化した社内コミュニケーションと新しい働き方
コミュニケーションロスの解消やWell-being(ウェルビーイング)推進を目指した門倉組の本社移転プロジェクトでしたが、大きな変化を警戒する社内の空気やプロジェクトリーダーの離脱によってピンチをむかえます。
しかし大きな不安を抱えつつ実施された本社の移転は、プロジェクトメンバーが予想もしなかった大きな成果をもたらしました。
後編では、グループ会社が本社に集結したことやフリーアドレスの導入によって活発化した所属、部署、年齢を問わないコミュニケーションや、加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)化、そしてそれらのシナジー効果によって生まれるかもしれない新たな展開などについて伺ってまいります。
新オフィスはWELL認証が取得可能に
2022年9月1日、引っ越しが終わり、新本社での業務がスタートしました。
オフィスは、スタンディングワークができる昇降式デスクを一部に採用。各デスクにモニターも設置されるなど、オフィスで働く従業員の身体への負担を軽減させる仕掛けも多く取り入れられています。
また、窓面から自然光を取り込み、植物やバイオフィリアの要素も多く取り入れ、Well-being(ウェルビーイング)への意識の高さがうかがえます。
WELL認証については下記の記事で解説しております。
https://hataraku.seiwab.co.jp/article211221/
社員の評判は上々!案ずるより産むが易し
一方で、プロジェクトメンバーの心中は不安でいっぱいでした。
旧本社も拠点としては残してあるため、そちらに戻ってしまう人も出るのではないかと危惧していたのです。しかし1週間が過ぎ、半月が過ぎてもそのような人はいませんでした。
それどころか社内の様子を見てみると、みんな意外と居心地が良さそうにしているではありませんか!特に拒否反応が強かったフリーアドレスも、思いの外みんな馴染んでいるので驚いたくらいです。
部署や年代を超えた社内コミュニケーションの増加
社内コミュニケーションの充実は今回の移転プロジェクトのテーマの一つでしたが、本社移転の効果は想像以上だったようです。
プロジェクトメンバー:
「グループ会社や各階に分かれていた部署が1箇所に集結して、それまで物理的・空間的に離れていたため会話がなかった人たちが会話をするようになりました。社内コミュニケーションの充実を実感しています。」
さらに上席者の席が一般社員同様にフリーアドレスとなったため、役職や年齢層を問わない上下間のコミュニケーションも深まったのも特徴です。
横方向だけではなく、縦方向にも社内コミュニケーションが充実していったのです。
ワークスペースが広がり、働きやすさも向上
フリーアドレスもワークスペースが広くなった点が好意的に受け入れられているようです。
「以前は固定席で、1人のスペースが横幅120cmくらい。しかもたくさんの荷物を置いていました。残されたスペースはPCを開くのがやっとという状態だったんです」とのこと。
新オフィスは個々人の使えるスペースが広がり、横幅140cm程度になりました。
しかも仕事が終わったらデスク上を片付けてフラットにするクリアデスクがルール化されているため、常に広々としたワークスペースで仕事をすることができます。
そのクリアデスクの習慣も移転前は「なんで毎日片付けて帰らなければならないんだ」と抵抗もありましたが、いざ移転してみるとみんなきちんと守っているそうで、「実は片付けてみるとみんな気持ちが良いんじゃないんですかね」とのことでした。
取引先から見学希望も続々!人に見せたい自慢のオフィス
社内だけではなく、取引先や顧客といった社外からの評判も高いようです。
「『うちもフリーアドレスを導入したい』という取引先が見学にいらっしゃったりしてるんですよ」とプロジェクトメンバーの一人はおっしゃいます。
「見せたい」と思える、自慢のできるオフィスになったという社員の自信は大きく、
「新しい本社を見てくださいということで、社外の方をご招待してオフィスツアーを行ったりもしています」とのことでした。
「働き方改革」「DX」がオフィスリニューアルとリンク
本社移転を契機に、フリーアドレスなどの働き方改革だけではなく、「DX」が加速したのも嬉しい効果の一つでした。
100年以上の歴史を持つ門倉組では、保管している図面関係や竣工図書が大量にありました。
それらを数年前からPDF化したり、建物カルテを作成したり、またサイボウズやMicrosoft365などのグループウェアを導入したり、サーバーにも外部アクセスできるようにしたりと、少しずつDXを取り入れていました。
「緊急の依頼があったときも、以前はデータをPCにダウンロードしてから現場に向かっていたんですが、今は現場でサーバーにアクセスすれば、施工図、意匠図、構想図、電気設備図といった図面をすぐにお客様に見せることができるようになりました。トラブルがあってもスピーディーに解決できるようになったんです」
とプロジェクトメンバーの一人は胸を張ります。
さらにはグループ会社であるガーデンサービスが本社の機器を使用できるなど、グループ会社全体で同じリソースを使用できるようになった点も大きいとのこと。
以前から撒いてあった働き方改革やDXの種がここに来て一気に芽吹き始めたのは、本社移転によって密になった社内コミュニケーションのおかげも大きいようです。
社内外のコミュニケーションの増加と新たなビジネスチャンスを生む期待
プロジェクトメンバーに本社移転後の印象を伺うと、
「社内のあちらこちらで社員同士が話し込む姿をよく見かけるようになりました。それもこれまで話すことの少なかった別の部署やグループ会社の社員とです。」
と教えてくださいました。
それだけに「今後、部署やグループ会社を横断したプロジェクトなどにも活用したいですね。」と期待を寄せていらっしゃいます。
またとにかく来客数が激増したそうで、
「以前は来社されても会議室に直行してしまうことが多かったんですが、今はみなさん、見学のために社内を一巡なさいます。
そこで挨拶を交わしたりできるので、今後ビジネスチャンスが増えるかもしれませんね」
とのこと。
本社移転による社内外のコミュニケーションの増加が、業務拡大につながることも期待できそうです。
清和ビジネスの素早い対応には情熱を感じた
清和ビジネスについての印象を伺うと、
「プロジェクトリーダーがプロジェクトから離れ、十分な引き継ぎもできないままプロジェクトを担当したため、初めは何をしてもらえるのか理解できてなくて、正直不安を感じていました。」
とのこと。
しかし、「自分たちが全く知らないWell-being(ウェルビーイング)の知見やデザインの知識の提供してもらったり、急な要望への対応などを総合的に考えると、清和ビジネスなしには今回の移転プロジェクトは成功していなかっただろうと今は考えています。」
とのお言葉をいただきました。
また、
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「毎週毎週、湘南まで足を運んでくれて、会議に参加。その日のうちには変更点について資料を変更して新たな提案も添えてくれる。」
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「とにかくレスポンスが早い。情熱を持っている点は信頼できると感じました。」
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「プロジェクトが途中でストップしたり、予定が二転三転したりもしたが、それでもよくフォローしてもらえたのには感謝している。」
との評価もいただけました。
今後はWell-being(ウェルビーイング)化を推進するWELL認証取得などもお手伝いさせていただく予定です。
まとめ
100年を超える長い歴史を持つディベロッパーとWell-being(ウェルビーイング)という考え方。
一見合い通じるところが少ない印象ですが、今回の取材で合点がいきました。
それは門倉組が基本とする「人は財産」という考え方が、Well-being(ウェルビーイング)と高い親和性を持つということです。
働く環境を整えることで、人的資産の損失を最小限に抑える一方、社内、グループ会社内、お客様、協力業者様とのコミュニケーションを活発化させて人的資産を最大限に活用する。
今回の本社移転プロジェクトは、グループ全体の社員に「自慢のできる会社」という自信を与え、さらに社内外のコミュニケーションを活発化させて化学反応を起こすことに成功しています。
次の100年を目指して
新オフィスの窓の外にそびえる雄大な富士山と同様に、門倉組の次の100年は、視界良好といえるのではないでしょうか。