北九州市が進めるJR小倉駅周辺などの開発を促進する施策「コクラ・クロサキリビテーション」の第1弾となるオフィスビルとして、2024年7月に竣工した「BIZIA KOKURA」。地域密着型の不動産会社である株式会社ミクニ様が中心となりBIZIA KOKURAは建設されました。
清和ビジネスは、2階にあるコワーキング・リフレッシュスペースに携わらせていただいています。
この度、BIZIA KOKURAを建設された経緯や狙い、今後の展望について企画開発事業本部 企画推進部部長の竹内様にインタビューさせていただきました!ぜひ最後までお読みいただけたら嬉しいです。
目次
- 「北九州市を盛り上げたい」という地域への想いが生んだ新オフィスビル
- 入居企業と共に創る、BIZIA KOKURAの可能性
- 優秀な人材を惹きつけるBIZIA KOKURAのWell-beingな環境づくり
- 未来へのまちづくりと次世代スマートオフィスとしての施策
- 住む場所も働く場所も、心地よさを追求する新たな街づくり
- 移転を検討されている企業様へメッセージ
- 編集後記
「北九州市を盛り上げたい」という地域への想いが生んだ新オフィスビル
――BIZIA KOKURAの竣工おめでとうございます!今回のオフィスビル建築はどのような背景からスタートしたのでしょうか?
竹内:私たち株式会社ミクニは、1981年に設立した北九州市に本社を置く不動産会社です。さらに現在東証プライム市場に上場しているワールドホールディングスを1993年に小倉北区に設立し、各種業務の請負(アウトソーシング)を行ってまいりました。
長年にわたり不動産と人材ビジネスを展開している中で、以前は福岡市よりも北九州市のほうがマーケットが大きい状況でした。しかし、現在は残念ながら福岡市のほうがポテンシャルが大きくなってしまっています。
また、北九州市は政令指定都市の中でも、若者の人口流出が激しい市だと言われています。地元の学生にその理由をヒアリングしたところ、「北九州は好きだから働く場所や企業があれば地元に残りたいが、働く場所がない。オフィス街も古い感じで、働きたくなるような新しいオフィスビルがない」という返答がありました。
北九州市には、九州工業大学や北九州市立大学、北九州工業高等専門学校など、特に優秀な理系人材が育つ土壌があるにも関わらず、働く場がないことにより人材が他エリアに流出してしまっているという現状があります。
私たちは北九州市で創業し、地元に対する愛着もあるので、コロナ禍に一定規模の土地を取得してさまざまな検討をする中で、この人口流出課題を改めて認識しました。「なんとしても地元を盛り上げたい」「優秀な人材が北九州市で活躍してほしい」という思いから『最新のオフィスビルを建設しよう』ということになったのです。
――BIZIA KOKURAは北九州市と共に作り上げたとお聞きしましたが、どのような活動をされたのでしょうか?
竹内:私たちは不動産と人材ビジネスを北九州で展開する中で、ある程度の規模の会社に成長することができました。北九州市に育ててもらったと言っても過言ではありません。そのため、民間企業であるミクニが単体で人口流出の減少や地域のポテンシャルアップに取り組むのではなく、北九州市の行政と連携しながら事業を展開した方が、より発展するのではないかと考え、市と意見交換を重ねました。
市のご担当者とさまざまな角度から検討を行った結果、BIZIA KOKURAを「コクラ・クロサキリビテーション」の第1号適合物件とすることを狙いながらプロジェクトを推進しようという運びになりました。
*コクラ・クロサキリビテーションとは?
北九州市が進めるオフィスビル建設促進策の名称でリビルド(建替え)+インビテーション(引き込む)の造語です。
北九州市は2021年にJR小倉駅と黒崎駅の半径1キロメートルを対象にコクラ・クロサキリビテーションを始めました。
コクラ・クロサキリビテーションは、地区の強みを活かしたSDGs未来都市やゼロカーボンシティの実現を目指して、民間開発の誘導と企業立地の促進を重点的に図るための新プロジェクトです。
この取組みを推進することで、民間ビルの建て替えや低未利用地などの民間開発の誘導、若者に好まれるIT企業等の誘致促進、省エネだけでなく快適性や企業価値の向上に寄与する「グリーンスマートビル」の普及など、SDGs未来都市の実現につながるまちづくりを目指します。
人口減少に歯止めがかからず、中心部には築40年以上の老朽ビルが目立つ北九州市では、24年3月に福岡市の「天神ビッグバン」に倣って幹線道路沿いの指定容積率を従来の600%から800%に緩和しました。
市では事業ごとに最適な支援策の紹介などのサポートを行い、官民が連携した都市機能の更新と更なる魅力向上を図っていきます。
オフィスビル建設に最大10億円を補助し、解体・建設期間中にかかる固定資産税の半額を実質免除します。
参照:コクラ・クロサキリビテーション https://rebuild-invitation.com
入居企業と共に創る、BIZIA KOKURAの可能性
――BIZIA KOKURAの価値を高めていくために、今後はどのような施策を考えていますか?
竹内:極端な話、建物はお金があれば誰でも建てられます。しかし、建築後に価値を持つのは建物そのものだけではなく、どのようなコミュニティを作るかにあります。そのため、私たちはその仕組みづくりに注力していきたいと考えています。
若く優秀な人材を集めるためには、ビジネスセミナーを開催したり、学生を招いてさまざまなイベントを実施するなど、ビルをコンテンツとして地域住民とのふれあいを実現できればビルの価値が高まっていくと考えています。
もちろん、入居していただける企業様にとってはオフィスとしての使い勝手も良くしていかなければなりません。どのような入居企業をどうやって誘致するかについては、市の企業立地支援課と積極的に意見交換をしていました。
――働く方々のことも考えてさまざまな施策を考えていらっしゃるんですね。入居される企業の使い勝手にこだわった点はありますか?
竹内:調査をしてみると、北九州市ではなんと20年以上にわたりオフィスビルの新築がありませんでした。そのため、在京企業などが北九州市に進出をしたいと考えても、現代の働く環境に対応できる床がないという状況だったのです。
最新のオフィスビルに入居を検討している企業がどのような機能を求めているのかを探るため、東京や大阪などに出向きオフィスビル視察を何度も行いました。
視察の結果、特にIT企業はIT用のOAフロアになっていない、電力が足りないなど、ハード面が対応できていないビルには入居していただけないことが判明しました。
BIZIA KOKURAには、オフィスビルに対して企業が求める機能や設備を厳選して取り入れています。例えば、1階エントランスに設けた非接触型顔認証セキュリティシステムもその一例で、すでに稼働を開始されている企業の皆さまからも好評いただいています。
BIZIA小倉で紡ぐ企業と地域のイノベーション
――なるほど。オフィスの使い勝手にこだわったことで、現在、日本の名だたる企業が続々と入居を決めているとお聞きしました。
竹内:現在、三菱総研DCS様、日本IBM様、ウイングアーク1st様、アットホーム様にご入居いただいており、その他のご入居希望企業とも最終契約の調整をしています。IT系企業はそれぞれ北九州市と立地協定を締結することで、設備投資や雇用の補助など、市からさまざまなバックアップやインセンティブを受けながら、有利な条件でビジネスを展開していかれています。
各社が北九州市と立地協定を締結した記事は「北九州市企業立地ガイド」にも掲載されているのでご覧ください。
三菱総研DCS様:三菱総研DCS株式会社と立地協定を締結!
日本IBM様:日本IBM株式会社 IBM九州DXセンター新オフィスを開設!
ウイングアーク1st様:ウイングアーク1st㈱ BIZIA KOKURAに「地域創生ラボ」を開設!
――入居される企業様はBIZIA小倉でどのような取り組みをされるのでしょうか?
竹内:三菱総研DCS様は、九州初の支社を開設されており下記などを展開されます。
- 雇用創出による地域活性化
- 高度人材育成とIT人材の獲得
- 地域企業との協業や産学官連携によるDX推進
- DX推進による課題解決ソリューションの創出
日本IBM様は、北九州市で人工知能(AI)を活用したビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)サービスを開始されます。北九州市内では2022年にシステム開発拠点を開設し、その後徐々に規模を拡大してこられましたが、BIZIA KOKURAを4拠点目に選んでいただきました。
日本経済新聞「日本IBM、北九州にAI使うBPO拠点 雇用350人に拡大」
ウイングアーク1st様は、BIZIA KOKURAに地域創生に関する活動を行う拠点「地域創生ラボ」を開所されました。今後は「産学官」の共創を通じた事業開発、雇用創出・人材育成に関する取組を推進し、北九州発の地域創生モデル「ザ・北九州モデル」として、全国展開を図ることで地域創生と事業拡大を行っていかれるご予定です。
北九州市と立地協定を締結された各社に対して、市のご担当者がBIZIA KOKURAへの入居を積極的にアピールしてくださっているのは非常に感謝しております。
優秀な人材を惹きつけるBIZIA KOKURAのWell-beingな環境づくり
――優秀な人材の確保にも効果を感じられそうでしょうか?
竹内:ご入居各社の総務部長さまとお話をしていると、「優秀な人材を確保するためにはオフィス環境を整えなければならない。その点でBIZIA KOKURAにはリフレッシュスペースなど、働く方々のWell-beingを意識した設備や空間が多数あるため、会社のアピールがしやすく、優秀な人材を確保することにも手ごたえを感じている」といった嬉しい声をいただくこともあります。
BIZIA KOKURA建設の狙いの一つがは、優秀な人材を北九州市に呼び戻し、さらに他のエリアで働いている方にも「ここで働きたい」と思っていただくことでした。まだスタートしたばかりではありますが、このお言葉を聞けると、非常に嬉しく感じています。
――2階のコワーキング・リフレッシュスペースが人気とお聞きしました!
竹内:BIZIA KOKURAの2階には、ご入居企業関係者が無料で利用できるコワーキング・リフレッシュスペースがあります。平日は8時から20時、土日は8時から17時まで開放しています。
飲食や軽い打ち合わせも可能で、上階の自社オフィスで仕事をしている方がリフレッシュのために降りてこられることも多いです。
――素敵な空間ですね!奥には会議室も用意されているんですね。
竹内:はい。会議室は時間貸しで利用いただけるので、少人数のセミナーや入社説明会などにもお使いいただけます。コワーキングスペースは天井高が5メートルほどあり開放感のある空間のため、来てくださった北九州の若い方たちが「こんな素敵なところで働きたい!」と言ってくれたら嬉しいですね。この空間で別企業の方同士が交流し、情報交換をすることで、新たなアイデアとイノベーションが生まれることも期待しています。
未来へのまちづくりと次世代スマートオフィスとしての施策
――SDGsやESGにも配慮・対応されているのでしょうか?
竹内:はい。BIZIA KOKURAは先ほどお伝えした「コクラ・クロサキリビテーション」の第1号適用物件であり、SDGs未来都市の実現につながるまちづくりを目指す取り組みをしております。
竹内:次世代スマートオフィスビルとして、4つの施策を掲げています。
- 安心・安全面として、建築基準法で定める換気風量の1.5倍の能力(30㎥/h)を備え、ウィルス対策を実施。また、エレベータのタッチレス機能(非接触)の導入や、非接触AI体温検知システムのフラッパーゲートを導入します。
- BCP対策として、水害被害をメインとして計画。構造体として、保有水平耐力を1.25倍以上確保するとともに、インフラが遮断されても1日間建物機能を継続し、事業を継続できる設備を備えます。また、在館者が1日滞在できる拠点施設とし、外部からの帰宅困難者も受け入れ可能な拠点を設けます。
- SDGsの取り組みとして、建物全てにおいて100%再生可能エネルギーの導入を目指し、 「北九州市SDGs未来都市」の実現と環境リテラシーの高いテナントのニーズを捉えるオフィスとします。
- 北九州初のCASEBEEウェルネスオフィス認証取得(予定)を目指します。建物利用者の健康や快適性、知的生産性の向上や、安心・安全の確保を建物の仕様・性能・取り組みで実現します。(リフレッシュコーナー、屋上庭園等)
住む場所も働く場所も、心地よさを追求する新たな街づくり
――BIZIA KOKURAには「良い企業が続々と入居されている」とありましたが、働く方々の住居問題も出てくるのではないでしょうか?
竹内:はい。それは大きな課題であり、ビジネスチャンスだと捉えています。働く人が増えれば、それに比例して住居の需要も高まります。しかし、北九州にはミドルからハイエンドが住む賃貸住宅があまり多くはなく、福岡から通っている人が多いというのが現状です。
せっかく良いオフィスで働いていただくのだから、近隣に良い住居もご提供し、気持ちよく生活をしていただきたいと考えています。そのため、現在は住環境整備を進めており、すでに土地の取得も始めています。
ありがたいことに、最近では「建て替えのコンセプト作りを手伝ってほしい」というご相談も増えています。BIZIA KOKURAの竣工を通じて、ビジネスチャンスが広がるだけではなく、小倉の町がさらに良くなるきっかけになっていると実感しているので、今後もミクニとして地域貢献をしっかりと行っていきたいと思います。
――BIZIA KOKURAは地元とのつながりを重視しているそうですね。
竹内:北九州市では現在、再開発の機運が高まっています。私たちはBIZIA KOKURAをきっかけに、市と連携をしながら、市と小倉の発展に貢献したいと考えています。
東京や大阪、福岡には最新のオフィスビルが多く建っていますが、私たちはその模倣をして同じようなものを作りたいとは思っていません。北九州にルーツがあり、地域への愛着があるからこそ、この地ならではの文化や発想を取り入れたビルを目指しています。
例えば、小倉には江戸時代から継承されている「小倉織」から誕生した「小倉縞縞(こくらしましま)」というブランドがあります。この小倉縞縞を、ビルの1階やトイレのエントランス、コワーキングスペースなどに取り入れています。
BIZIA KOKURAに訪れた方がただ帰るだけでなく、こうした伝統文化に触れることで、より小倉の魅力を感じていただきたいという願いを込めています。今後はこのコワーキングスペースを小倉祇園太鼓の練習に使ってもらうことなども企画しています。
移転を検討されている企業様へメッセージ
――改めて、BIZIA KOKURAが提供する価値について教えてください。
竹内:現在、多くの企業が人材不足という課題を抱えています。成長企業であっても「採用はできるが人材が定着しない」という悩みを耳にしますが、その一因としてオフィス環境が挙げられることも少なくありません。
BIZIA KOKURAは働く方々に十分な配慮を施したオフィスビルであると自負しております。心地よく働くことができて、より優秀な人材が長く成長できるオフィスは、小倉ではここにしかないと思います。
最近はABW(Activity Based Working)という考え方が浸透してきています。ABWとは「チームで仕事をするときにはここ」「集中して仕事をするときにはここ」といったように、オフィスの中で仕事の目的に応じて効率的に働く場所を社員自らが選択することです。
BIZIA KOKURAでは「アイデアを出すときはここ」「地域の方と交流を持つときはここ」「リフレッシュするときはここ」など、ビル全体でABWを実現できるように作っています。
通常、契約されているフロアの執務スペースだけで予算が達してしまい、ABWを実現するのはなかなか難しいという企業様も多いと耳にします。ここではフリーでお使いいただけるスペースをビル側でご用意しているので、ご入居企業も働いている方々にとっても価値を感じていただけるのではないかと思います。
――最後に、移転を検討されている企業様へメッセージをお願いします!
竹内:今、単に安いオフィスを選ぶ時代は終わろうとしています。
採用コストと定着コストを考える際に、賃料単価は安いがオフィス環境が未整備のビルを選び退職率が高まってしまうのか、少しだけ坪単価は高いがオフィス環境が整備されていることで社員の満足度と定着率が高くなるビルを選ぶのか。私たちは後者を選んでいただくことをおすすめします。
賃料はコストではなく投資だという考え方が主流になってきています。ぜひオフィスビルを選ばれる際は、坪単価がいくらという比較をするだけではなく、採用した社員の定着率が高まるかどうか、などを加味して考えていただけると幸いです。
私たちはBIZIA KOKURAを通じて、日本全国から優秀な人材が北九州、そして小倉に集まることを目指しています。少しでもご興味をお持ちいただけた企業さまは、ぜひ一度遊びにいらしてください!
編集後記
初めてBIZIA KOKURAにお邪魔したのですが、驚いたのは「アクセスの良さ」です。博多から小倉まで新幹線で15分、そして小倉駅から歩いても約7分ほどで、合計30分もあれば博多から着いてしまうほどの距離です。この好立地はビジネスマンにも非常に通いやすいと実感しました。
また、BIZIA KOKURAの周りにはパン屋さんや居酒屋が並んだ商店街もあり、地元の方の温かい雰囲気を感じることができました。
今回、清和ビジネスは2階のコワーキング・リフレッシュスペースに携わらせていただきました。これからも地域を愛し愛される企業の皆さまのWell-beingを「働く環境」という視点で支えることができればと考えています。働く環境に課題やお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽に清和ビジネスまでご相談ください!
〈インタビュー・撮影協力〉
・BIZIA KOKURA
住所:〒802-0006 福岡県北九州市小倉北区魚町3丁目 5−5
公式HP:【公式】BIZIA KOKURA|ビジア小倉
・株式会社ミクニ
本社所在地:〒802-0081 福岡県北九州市小倉北区紺屋町12−4
設立:1981年(昭和56年)
公式HP:不動産のことなら-ミクニ|総合不動産業(賃貸・売買等)
今の課題をなんでもご相談ください!
はじめてのオフィス移転もこれで安心!
常に働き方改革を実践するオフィスを体験できます!