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BPOの導入でノンコア業務を「進化させる」成功のポイントを解説

取材協力:エームサービス株式会社

コロナ禍を経て、私たちの働き方は大きく変わりました。テレワークやオンラインでの交流が一般化し、それまで当たり前だったオフィスワークは形を変え、企業もワーカー個人も「生産性」を意識する機会が増えたのではないでしょうか。

この変化のなかで注目を集めているのが、業務を外部パートナーにアウトソースする「BPO・アウトソーシング」サービスです。

従来は、単なるコスト削減や人的リソース補充のための施策ととらえられていたアウトソーシングサービスですが、生産性の追求や、多様化する働き方への「対応」など、求められる役割も変化してきていると思われます。

株式会社矢野経済研究所の2020年度調査によると、BPO市場は前年度比1.9%増の市場成長となりました。コロナ禍で企業活動が停滞したにもかかわらず成長している理由としては、コロナ禍による打撃で社内リソースの最適な配分を改めて考える企業が増えてきたことが挙げられます。

矢野経済研究所 BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2021年)より

BPOとは何か

BPOとは、ビジネスプロセスアウトソーシングの略です。「アウトソーシングは聞いたことあるけど、ビジネス・プロセスという言葉が加わることで何が変わるの?」まずは、その違いから説明していきます。

BPOとアウトソーシングの違い

従来は単一の定型業務を外部に委託するというものでした。例えばオフィスの掃除を清掃会社に依頼すると、毎日8:00に清掃会社のスタッフがやってきて掃除機をかけて帰っていくというイメージです。決められた作業だけを行うアウトタスキングと言えるでしょう。

これに対してBPOは単なる作業だけでなく、その前後のプロセスも「まるごと」引き受けます。オフィスの掃除を例にとると、単に掃除機をかけるだけのアウトタスキングに対して、BPOは清掃用具の選定や調達、クライアント企業のルールや社風に合わせたスタッフの研修も行います。さらにはオフィスの状況をフィードバックすることもあれば、業務の最適化を提案するなど、周辺業務や業務フローの構築まで、その領域は多岐にわたります。

BPOの対象業務

それでは、具体的にどのような業務がBPOの対象となるのでしょうか。

コア業務(直接業務)とノンコア業務(間接業務)

企業活動を維持する業務は、直接、売上げや成果を生みだすコア業務と、それを支援するノンコア業務に分類できます。ノンコア業務は売上げや成果に直結しませんが、企業活動に欠かせないものであり、例にあげた清掃や施設管理、企業の顔とも言える受付、総務、庶務、福利厚生などの業務がそれにあたります。この定義やガイドラインは会社によって異なりますが、一般的にノンコア業務がBPOの対象範囲になることが多いとされています。

BPOのメリット

ノンコア業務では、企業自身が業務改善やコスト分析を行うことが難しいとされています。毎日行う作業には、細かい管理項目に企業ごとの文化やルールがあり、他社との比較も難しく、専門スタッフを育成するにも時間がかかります。

これらのノンコア業務をプロセスごと、場合によっては部署の業務ごと委託することで、業務を円滑に機能させるだけでなく、スタッフの採用、育成の時間も短縮することができます。

その結果、企業はコア業務に人的資源やパワーを集中することができ、「生産性の高い」活動が行えます。

BPOの具体的なサービス

 ここからは、オフィスでのBPOサービス大手、エームサービス株式会社様(以下、エームサービス)に協力いただき、具体的なサービス、導入時のポイントなどについて掘り下げていきたいと思います。

エームサービスのBPOサービス

エームサービスは、給食事業最大手の一つであり、同時にオフィスでのBPOサービスも幅広く展開しています。

一般的なオフィスワークのBPOとして総務業務全般のサポートや、同社ではホスピタリティ部門と呼んでいる受付業務を行っており、加えて来客への呈茶、会議室のアレンジなどの業務も提供しています。
ほかにも、メールルームの管理から、ファシリティ部門が行う資産管理、清掃業務、備品管理まで、オフィス内のさまざまな業務をBPOとして請け負える体制が整っています。

(左)受付の様子  (右)お客様対応
         (左)電話対応   (右)メールドキュメントの収集・配布

また、社員食堂や最近多くの企業が導入している「オフィス内カフェ」の運営もBPOサービスのひとつとして展開しており、福利厚生に関する領域も含めて、高い品質と豊富なバリエーションを備えています。

その一方で、単に業務を外部パートナーに委託をするという考えだけでは本質的なBPOの価値を生みだすことはできません。

実際にBPOの導入を検討する際のポイントをエームサービス OSM事業部 事業部長 早川さんに伺いました。

BPO導入を検討する際のポイントとは

委託先は1社にまとめる

早川さん:
一口にノンコア業務といっても、「この仕事は総務部様が担当、こちらは人事部様」というように業務ごとに部署が異なり、特に大企業になるとセクションや予算が明確に分かれているケースがほとんどです。

それぞれのセクションがバラバラにBPOを依頼してしまうと、契約は煩雑になり、コスト高になるだけでなく、正しく情報連携ができない「リスク」も生じます。

BPO業務の委託先を一本化することで、それぞれの業務に横のつながりが生まれ、品質の維持やコストの削減にもつながります。

実際には、飲食関連のサービスも含めてBPOサービスを幅広く展開し、一本化に対応できる会社は多くは存在しません。三井物産グループの一員であるエームサービスは、そのネットワーク、資源、ノウハウを使い、利用企業のさまざまなニーズに応えつつ、一本化を実現できる数少ない会社の一つになります。

対応力や提案力をチェック

早川さん:
一般的にBPOは「決まった業務を決まった枠のなかで行う」という傾向が強いと言われています。しかし、各社が違った働き方や企業文化を持つなかで、BPOの現場で求められるニーズも利用企業によって異なりますので、BPO先の柔軟性や状況に応じた提案力も外部パートナー選定のポイントになると思います。
単なる意思決定、判断を伴わない外注化=アウトタスキングなのか、それとも、より価値を生む意思決定、判断を伴う外注化=アウトソーシングになるのか、BPOとしてより機能するかの分かれ目になるといえるのではないでしょうか。

エームサービス OSM事業部 事業部長 早川さん

では、エームサービスとして、クライアント企業からの要望には、どのように対応しているでしょうか?
引き続き、早川さんに質問をすると、
「当社はお客様の状況や事情に合わせてかなり自由に提案をします」と答えていただきました。
いわば「ここからここまでが自社が提供するサービス」というような枠組みを決めておらず、三井物産のネットワークを活かした柔軟な対応力を「強み」として展開しているとのこと。

早川さん:
この柔軟性が評価され、最初は受付業務だけを担当していた企業から、来客へのお茶出しやメールサービス、ヘルプデスク、さらにはカフェテリアや売店まで、業務領域を拡大させて依頼される事例も少なくありません。
日々の担当者同士のコミュニケーションの中からちょっとした工夫でできることにまず取り組んでいく。便利だと実感してもらうことで相談が増え、担当させていただく業務が広がっていくケースもあります。

早川さんと同じOSM事業部のディストリクトマネジャーの近藤さんも「1ではじまった仕事が3、4になることは多いですし、それに応えられるのも当社の特徴です。当社が入ることでお客様の可能性がどんどん広がっていくと思います」と、BPOサービスを利用する企業のメリットをお話しいただきました。

エームサービス OSM事業部 ディストリクトマネジャー 近藤さん
解説していただいたエームサービスの皆様(左から早川さん、金田さん、前澤さん、近藤さん)

BPOサービスの評価や品質は「数値で可視化」する

BPOサービスでは、単に業務をこなすだけではなく、より明確な価値の提供が求められます。評価が難しいと言われるノンコア業務に対し、利用企業はどのようにその品質を評価するべきなのでしょうか。エームサービスが、自社が提供するサービスに対して行っている評価方法について、OSM事業部マネジャーの前澤さんにそのポイントを伺いました。

前澤さん:
まずは、お客様がイメージしているゴールを明確に理解することです。そしてゴールに向けて確実に進んでいるかを確認するために、当社では数値で可視化しています。BPOで担当する業務や庶務系の業務にはイレギュラーなことも多いので、細かいアレンジを行うこともあります。

例えば、年間1万回のお茶出しの中で何回ミスがあったのか、お部屋への案内で何回間違った案内をしてしまったのかなど数値化し、さらにミスの原因を追究し、同じことが起こらないように対策をとる。数字で可視化することでお客様にも「設定したゴールに対していまはどの位置なのか」を明確に報告することができます。お客様が評価しやすい形をつくることも重要なポイントだと考えています。

まとめ

BPOサービスについて、その導入と評価ポイントをエームサービスの事例をもとに説明いたしました。

BPO業務の窓口を一本化する重要性とメリット。求められる柔軟性・対応力。そしてゴールの設定と数値での可視化。エームサービス独自のノウハウもありますが、BPOは単なる業務のアウトタスキングではなく、まさにプロセスのアウトソーシングを通じて、業務自体を進化させることに価値があることが分かりました。

流動的な働き方への対応

働き方については企業もワーカー個人も、引き続き社会の動きに対応して「流動的」になるでしょう。

その動きに合わせて企業は都度、自社の資源を適応させていかなければなりません。BPOサービスを取り入れることで、社会の動きに柔軟かつスピーディーに対応することができ、限られた資源、リソースをコア業務に投資することができます。生産性の高い企業活動を持続するためのひとつの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

≪取材協力≫
エームサービス株式会社
東京都港区赤坂2丁目23番1号 アークヒルズフロントタワー
代表取締役社長 小谷 周
https://www.aimservices.co.jp/

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