午後の生産性を高める!オフィスでの「コーヒーナップ」

さて皆さん、「コーヒーナップ」という言葉を聞いたことがありますか?
コーヒーを飲んでサクッと昼寝をして、リフレッシュした気分で午後の仕事をスタートしようという取り組みです。

企業の働き方改革や健康経営のブームもあって、近年「生産性の実現」に向けた方法のひとつとして、注目されてきました。

コーヒーは眠気覚ましというイメージが強いですが、昼寝に効果があるのでしょうか? 実際どんな感じなのかなと思って、さっそく社内で体験イベントを開いて、みんなの感想を聞いてみました。

「コーヒーナップ」とは

パワーナップ×コーヒー=コーヒーナップ

英語で「ナップ(nap)」は、昼寝あるいはうたたねの意味。

午後の眠気からくる仕事のパフォーマンスの低下を改善するために、午後の早い時間に15~30分程度の仮眠をとると、その後の作業効率がよくなる……。これ、「パワーナップ」といわれる睡眠法で、最近では積極的に導入している企業も増えています。

そして、「パワーナップ」とコーヒーを組み合わせたのが「コーヒーナップ」で、眠る前にカフェインの入ったコーヒーを飲む方法。カフェインといえば、一般的には、眠気覚ましとして知られているはず。それをあえて寝る前に摂取するのはなぜなのでしょう?

コーヒーは眠気を誘うことも

コーヒーには覚醒作用がある反面、飲むタイミングや量によっては眠気を促すこともあります

コーヒーを飲んで眠くなる理由としては、

  1. コーヒーに含まれる糖質によって眠くなる

  2. コーヒーの香りによるリラックス効果で眠くなる

  3. カフェインの効果切れによって眠くなる

  4. 利尿作用による脱水症状が起きて眠くなる

などが考えられます。

カフェインは、摂取してから30分ほどで効果を発揮し始めます。そのため、オフィスで昼寝の直前にコーヒーを飲み、15~30分ほど仮眠をとるとスッキリ起きられるというわけです。

「コーヒーナップ」の学術的な研究

「コーヒーナップ」の効果は、学術的な研究でも明らかにされています。ひとつ、広島大学の研究を紹介しましょう。
「昼寝なし」、「昼寝のみ」、「昼寝後に洗顔」「昼寝後に強い光を浴びる」、「カフェインの入ったコーヒーを飲んでから昼寝」の5つのグループに分けて、午後の過ごし方を比較したところ、眠気がほとんど上昇せず、記憶テストの成績がもっとも良かったのは、「コーヒーを飲んでから昼寝」したグループでした
効果は1時間近く持続したことも確認されています。

「コーヒーナップ」の社内体験イベントを開催

実際に私たちも、「コーヒーナップ」でどんな結果が出るのか知りたくて、ランチタイムを利用して、社内体験イベントを開催することに。せっかくなので、オフィスでコーヒーを楽しむ機会をつくりました。

オフィスの一部で本格的なコーヒーを淹れ、その香りに誘われて40名ほどの社員が集まりコーヒーナップ体験会に参加しました。

まずは自分の好みのコーヒーを選ぶ

日本ハンドドリップ協会の植村隆之介代表理事の協力で、3種類のコーヒーを用意しました。コーヒー豆は、植村さんお気に入りの、東京の隠房(かくれんぼう)で焙煎したものです。
3種のコーヒー豆の特徴は、以下の通りです。植村さんによれば、ソムリエがワインを表現するときに使う「フルーティ」「スパイシー」といった表現を、コーヒーでもよく用いるそうです。

  1. 「リントン」(インドネシア・スマトラ島)
    スマトラ島を代表するマンデリンの特徴があります。クリーンでリッチ、緑のハーブを連想させる香りと、ダークチョコやバターのようなコクがあり、スパイシーで力強い余韻が残ります。

  2. 「ディビーノ・ニーニョ」(コスタリカ・サンホセ州サンパブロ)
    ラズベリーのような甘く完熟した果実感がたっぷり感じられます。ラム酒のようなアルコールの風味があり、しっかりしたボディ、滑らかな質感と心地よいコクが特徴で、何杯でも飲めるコーヒーです。

  3. 「サンタテレサ(ルメ・スダン)」(コスタリカ・サンホセ州サンタマリア)
    その名の通りスーダンで発見されたらしい品種で、標高2000メートルで丁寧に栽培されています。カップを鼻に近づけた途端に、柑橘などさまざまな果実を思わせるみずみずしい豊かな香りが広がります。雑味の無いピュアな味わいで、やさしい酸味が蜜のような甘さを引き立て、奥行きが感じられます。

 体験イベントでは、3種のコーヒーを試してもらいましたが、どのコーヒーが好みかはそれぞれ分かれました。「3つとも同じコーヒーなのに、味や香りが全然違うのは驚き!」との声も上がっていました。

オフィスで仮眠タイム

コーヒーを飲み終わると、各自の席に戻って、15~20分を目途に昼寝。 清和ビジネスの本社オフィスはWELL認証を取得する健康的に働ける環境。

休憩スペース(リチャージスペース)も充実していますが、全員が同時に休むことは難しいので、各自のデスクで、腕の位置を工夫して、うつ伏せなど楽な姿勢で眠る人が多かったようです。

 体験イベントを終えたみんなの感想

「午後の業務に良い効果があった」が93%

では、「コーヒーナップ」はどんな効果があったのでしょうか?

参加者40人に記入式アンケートに答えてもらいました。 「コーヒーナップは午後の業務に良い効果があった」と答えた人が、なんと93%を占めました。

内訳は、「眠気を感じなかった」が6割弱、「業務効率が上がった」が4割近くいました。
そして、「日常的にコーヒーナップを取り入れたい」人が9割に上りました。 「昼食後はよく眠気に襲われることがあるのに、それを感じずに業務に集中できた」「眠気がなくなり、すっきりリフレッシュして午後の業務に取り組めて、いつも以上のパフォーマンスを発揮できた」といった前向きな回答が大半でしたが、中には、リラックス効果が出て「逆に眠気が増した」と答えた人もわずかながらいました。

 コーヒーに人が集まるとオフィスで「コーヒーハウス」が実現できる

業務の生産性が上がるという効果以上に、「みんなでコーヒーを飲む時間を有意義に感じた」という声もありました。

「異なる部署の人と久々に話した」、「上司がコーヒーに詳しいという意外な一面を発見した」など、コミュニケーションにつながる話題になったようでした。

一方で、「夜眠れなくなった」という人もいて、コーヒーの摂取には個人差があることがわかりました。

 そのほか、「コーヒーの周りに人が集まり、普段話さない人との会話が生まれた」、「会社でカフェのような気分を味わえた」、「コーヒーの良い香りが漂ってきて、それだけでもリラックスできる感じがして良かった」、「業務中に好きなコーヒーを飲めると、モチベーションが上がる」、「気持ちにゆとりができた」、「みんなが楽しそうでよかった」など、好意的な感想が多く寄せられました。

コーヒーに人が集まり、情報交換などコミュニケーションを作り出す。まさに現代でも「コーヒーハウス」と同じ役割をコーヒーが担っていることになりますね。

コーヒーハウスについては下記記事にて解説しています!

なぜ企業はオフィスにカフェスペースをつくるのか?「はたらく」と「コーヒー」の深い関係

  「コーヒーナップ」のポイント

社内体験イベントを終えて、ここで改めて「コーヒーナップ」のポイントをまとめておきます。

「コーヒーナップ」のコツは、昼食後の眠気のピークが訪れる前のカフェイン摂取にあります。
カフェインは摂取されてから30分ほどで体内に吸収されるため、昼寝の始まりには影響がありません。
昼寝をはじめて20~30分くらいになると、カフェインが体内に吸収されて脳の覚醒作用が働き、目覚めやすくなります。この時点で起きれば、その後の午後の作業に集中して取り組めるのです。

  1. コーヒーを飲むタイミングは、昼寝の直前。コーヒーを飲んでからスマホをチェックしたりしていると、眠りにつく前にカフェインが働き出して眠れないことがありますから、注意しましょう

  2. カフェイン摂取量の目安は200ミリ・グラム。なお、1杯のドリップコーヒーには約130ミリ・グラムのカフェインが含まれています

  3. 昼寝時間の目安は20分。長くても30分未満がおすすめで、長すぎる昼寝はかえって逆効果になります。人は眠り始めて20分を過ぎたあたりから「徐波睡眠」と呼ばれる深い眠りが始まります

  4. 5分~10分間、コーヒーを飲んで短時間目をつぶっているだけでも、疲労回復効果があります

  5. 昼寝を始めるのは、15時までに。それ以降の睡眠は、夜の睡眠の質に影響を与える可能性があり、かえって睡眠不足を引き起こすことがあります。

コーヒーに含まれるカフェインは、適量を摂取すれば、胃の消化補助、血糖値の改善、肥満予防など、健康に良い効果が期待できると言われています。

ただし、過剰に摂取すると、心臓をはじめとする内臓に負担がかかり、貧血やめまいなどの症状が現れることがあるので、注意が必要です。

カフェインの1日の摂取量の目安は、体格によっても異なりますが、成人ですと、400ミリ・グラム以内。マグカップ約3杯分です。コーヒーのあるオフィス生活で、日常のオン・オフを上手につくり、健康に、楽しく仕事をしていきましょう。

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