井上円了が創設した哲学館をルーツとし、長い歴史を持つ一方、世界レベルの教育を行うことを目的として文部科学省から重点支援されるスーパーグローバル大学創成支援事業にも採択されている東洋大学。
その東洋大学は現在、中期計画「TOYO GRAND DESIGN 2020-2024」を策定して教育・研究の高度化を推進。なかでも新規事業計画として、学部学科の再編や新校舎、学生寮の建設など、東京都北区・赤羽台キャンパスの整備に取り組んでいます。
東洋大学赤羽台キャンパスについて
隈研吾氏による設計
赤羽台キャンパスを設計したのは、新国立競技場の設計などでもおなじみの日本を代表する建築家、隈研吾氏。
2017年のキャンパス開校を皮切りに、今回取材させていただいたライフデザイン学部等の学生が学ぶWELLB HUB-2が2021年1月に竣工しました。
この「HUB」というネーミングは赤羽台キャンパス全体のキーワードである『つなぐ』を意味しており、情報系、社会福祉系、スポーツ科学系といった3分野の学部が「知のつながり」を持つこと、そしてもう一つは地域社会とのつながりを表現しています。
実際に新校舎では、「まちかど広場」や「さくら広場」といった住民との交流を促すようなエリアも設けられており、地域の住民とのつながりを活性化させる工夫が随所に凝らされています。
他キャンパスからの移転と新規学部の開設
赤羽台キャンパスでは、朝霞キャンパスなど他キャンパスからの移転や新規学部の開設により知の集約をおこない、情報、福祉、スポーツ科学の拠点となることが計画されています。
2017年4月に赤羽台キャンパス開設、情報連携学部等が開学されたことを皮切りに、2021年4月には朝霞キャンパスからライフデザイン学部等が移転。また2023年4月には体育館、図書館などを備えたHELSPO HUB-3が完成するのを機に、新たな2学部5学科等を開設。ソフト、ハードの両面から「福祉」「スポーツ科学」と向き合う一大拠点となることを期待されています。
学部の移転には教育機関特有の苦労した点も
既存の機器などの流用と新調するものの線引きが難航
今回の朝霞キャンパスからの移転には、教育機関特有の悩みもあったようです。今回、2020年度に実施した朝霞キャンパスから赤羽台キャンパスへの移転プロジェクトについて、今回の移転の施設設備を担当された東洋大学赤羽台事務課、田邉さんにお話をうかがいました。さまざまな苦労話についても、お聞きすることができました。
田邉さん:朝霞キャンパスは図書館や食堂など一般の大学にみられる施設だけでなく、ライフデザイン学部等の学生が利用する介護や保育、建築デザインなどのさまざまな実験実習施設を完備していたため、都心のキャンパスに移転に際しては、同じクオリティ以上の環境を整備することを目標としました。
最大3.5t!実習機材運搬プロジェクト
実習で使う大型の専門機材にいたっては、それだけでも「プロジェクトX」のテーマになるのではという世界。今回の移転の中でも特に難しい作業だったようです。
田邉さん:例えば、人間環境デザイン学科の機器で切削加工を行うフライス盤があるのですが、それが機械自体の重量が3.5tもあり、それを入れるのにはかなり苦労しました。朝霞キャンパスの建物の壁を抜き、機械を解体。赤羽台キャンパスで再度組み立てるのですが、3.5tもありますので、運ぶのも、床の耐荷重を計算して組み立てるのも、相当に気を張る作業でした。
介護実習室全ては一気に運べない!スケジュール調整の難しさ
スケジュールが厳しいことから、スピードを優先して搬出、搬入をおこなえば良いと考えてしまいがちですが、教育機関の場合、簡単にはできない事情があるようです。
田邉さん:2021年2月~3月の期間は、赤羽台キャンパスへの移転作業と並行して、朝霞キャンパスにて入試や学位記授与式・卒業式などがありました。
また教員研究室や実験室の物品を早く移転することで研究へ影響が生じない様に配慮しました。
そのために必要な物品は、優先順位をつけてスケジュールを細かく調整しました。
移転したことでの利点
移転してみてよかった点について田邉さんにうかがってみました。
田邉さん:1つの学部が1つの建物に集約されているので使い勝手が良くなりました。
また学生の利便性は上がったと思います。最寄駅からキャンパスまでの距離が近くなりましたし、建築や生活機器、プロダクトなどものづくりを学ぶ人間環境デザイン学科の学生にとっては、近くに大型ホームセンターがあるため、資材などが購入しやすいという利点もあります。
あとは、キャンパスが新しいというのは、嬉しいですよね。教室も食堂も実験実習施設も全てが新しいので、当然キャンパスへ通う「楽しみ」に繋がっていると思います。
今後の展開について
今後の展開についてもうかがってみました。
田邉さん:2023年1月にはWELLB HUB-2の隣にHELSPO HUB-3(体育館棟、図書館棟)が建設され、赤羽台キャンパスの校舎のコンセプトである「つなぐ」が実現し、さらなる教育・研究活動や社会貢献・地域交流活動が活発化していくことと期待しています。
清和ビジネスを利用してよかった点
清和ビジネスはこれまで東洋大学の他の移転プロジェクト等も担当させていただいております。
今回も、弊社を利用して良かった点について、田邉さんにうかがってみました。
田邉さん:今回の移転は新規什器を設置するだけでなく、朝霞キャンパスに設置している多くの実験実習機器等の移設が必要で、その移設には多くの業者の方に関わっていただいたことから、引越しスケジュール全般を管理、調整いただけたことは大変助かりました。
またこれまでの経験値からアドバイスをいただくこともでき、2カ月間という短い期間での移転が滞りなく進められたと思います。
とお褒めの言葉をいただきました。
まとめ
隈研吾氏が設計した特徴のあるデザインのキャンパスは、私たちのような初めて訪れた外部の人間でも非常に居心地の良い空間でした。これだけ素晴らしい施設、そしてご担当者が苦労を重ねて完成されたキャンパスも、残念ながら、取材時にはコロナウイルスの影響でまだポテンシャルを発揮できていない状況でした。
2022年4月からは、キャンパスでの対面授業が再開されています。多くの学生が、講義や実習に励み、キャンパスライフを満喫されていることでしょう。
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