最近では、”学生から学校が選ばれる時代”になってきていますが、単に「校舎や教室がキレイ」というだけでは選ばれません。今、学び場において注目されているのは、学生が「ここなら快適で、質の高い学びが得られる!」と感じることができるアクティブラーニング空間を整えることです。
9月18日に開催されたセミナー「学び場はもっと進化できる~生徒・学生に選ばれる学び場とは~」にてご登壇いただいた青山学院大学様の講演をもとに、アクティブラーニング空間の構築にあたり考慮すべきポイントをご紹介します。
目次
青山学院大学 事例紹介「利用者とともに進化する図書館」
青山学院創立150周年記念事業の一環として、青山キャンパスにマクレイ記念館を開館した青山学院大学様。マクレイ記念館は、大学図書館と情報メディアセンターの機能をもつ総合的なアカデミック活動を支援する学術情報施設となっています。
新たな学びの場を目指すための再構築
1929年から図書館として利用されていた間島記念図書館(現在の間島記念館)は、学院・大学の発展や学生数の増加に伴い、図書館として手狭になり、1977年には青山学院創立100周年事業として大学図書館本館が建築されたものの、年を経て老朽化し、さらに変化が求められている学習環境に十分に対応できていないという課題が浮き彫りになっていました。
実際に利用する教員・学生からの不満として主に下記が挙げられていました。
- 蔵書の数や種類が不足している
- インターネット環境が十分に整っていない
- バリアフリーに対応していない
加えて2013年度の就学キャンパス再配置により、青山キャンパスに人文社会科学系7学部が集約され、学生数が倍増、空き時間に学生の居場所を確保することも課題になりました。
つまり、新図書館には「質・量ともに十分な蔵書」「先端的なICT環境」「ユニバーサルアクセス」、そして「学生が快適に過ごせる学びの空間」が求められます。
しかし、すべての学生が空き時間に静かに読書や調べ物をするわけではありません。中には友人と授業課題について話し合ったり、ゼミの発表練習を行いたい学生もおり、ニーズは多様です。そこで、このような多様な要望に応えられる新たなコンセプトづくりが必要となりました。
コンセプトは「利用者とともに進化する図書館」
新図書館計画が立ち上がってから約20年、時代の変遷とともにさまざまな議論がされてきましたが、いつも一貫していたのは、「学生本位」という考え方でした。
その考えたをもとに、求められるニーズに応えるべく決定したコンセプトが「利用者とともに進化する図書館」です。
また、もう一つの重要なコンセプトが「知のスパイラル」です。
学生たちが新たな学びに出会い、学びを広げ、さらに自分なりに学びを究めた後、その学びを携え、さらに他社との共有を図ったり、学びに新たな視点を加えたりすることで学生の成長を促していくのが「知のスパイラル」です。
変化し続ける社会の中で、学びにおける学生のニーズの多様化に応えることができ、学生がそれぞれの目的に合わせて空間を選べること、学びの発展を見据えた空間づくりを考えました。
コンセプトを実現するために重要となった「ゾーニング」
多様なニーズに応えるために、集中環境とコミュニケーション空間の「ゾーニング」が鍵となりました。大きく分けて2階~3階は控え目な声での会話のみ可能、4階は会話不可、5階は静粛とゾーニングしています。
2階 ディスカッションができる閲覧スぺ―ス
2階の閲覧スペースはディスカッションが可能となっており、複数名で使えるように広めのテーブルを設けています。また、雑誌の書架は上下で互い違いになっており、デザイン性と運用の利便性のどちらも叶えたつくりにしています。
3階 グループでも個人でも利用できるスペース
2階よりも少し静かな雰囲気を持たせた3階には、仕切りのない広いテーブルに加え、個人ワークもできるような個別席も一部配置しています。
4階 個人ワークに集中できる環境
4階は、家具の色調を抑えて静かな雰囲気を演出しており、会話が禁止されているため、個人での作業に集中しやすい環境です。広めのテーブルも設置され、会話はできないものの、友人と並んで学習することが可能です。また、書架の間隔は車椅子が通行できる128cmを確保し、バリアフリーにも配慮した設計となっています。
5階 静粛なフロア
5階には電動式集密書架を導入し、約20万冊を収蔵可能なスペースを確保しています。和文・欧文を含む各種専門誌や他大学の紀要が整然と配架されており、学生が十分に情報収集できる環境を整えています。
利用者が急増し、図書館が知的な居場所として機能している
マクレイ記念館は開館後、連日満員となり、「学習するために資料を借りに行くだけの場所」ではなく「ここで学習・作業をしてインプットとアウトプットの両方が行える知的な場所」として機能していることがわかりました。一方で、今までの「静かな図書館」を望む学生からは、図書館で他の学生が話しているとクレームが寄せられる場合もあります。利用するすべての人にゾーニングの意義について理解して使ってもらうことも今後の課題となってきそうです。
まとめ 選ばれる学校になるために
青山学院大学様のマクレイ記念館は「学生本位」という考えのもと、主体的に学生が学べる環境を作り上げています。
清和ビジネスは、選ばれる学校になるためには以下の5つのポイントを抑えた空間づくりが大切だと考えています。
- 質の高い教育
- 魅力的な施設
- 安心安全
- 学びを止めない施策
- SDGs
セミナーでは「質の高い教育」「魅力的な施設」について青山学院大学様からご紹介いただきましたが、他のポイントについては高千穂交易株式会社様、ピクシーダストテクノロジーズ株式会社様にご講演いただきました。
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